投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

どこにでもないちいさなおはなし
【ファンタジー 恋愛小説】

どこにでもないちいさなおはなしの最初へ どこにでもないちいさなおはなし 43 どこにでもないちいさなおはなし 45 どこにでもないちいさなおはなしの最後へ

どこにでもないちいさなおはなし-44

そして今は無きキメール・ド・イヴの国民を迎え入れたメリーガーデンは静かに佇んでいました。まるで何も変わっていないかのように。ですが、ジュリアスが割った壷から逃げた妖精がメリーガーデンの敷地内に入った途端、国土の周りを薄い光の壁が覆いました。国境に何千人という魔術師が立ち彼らは一様に国を守るために光の壁を作ったのでした。キメール・ド・イヴのイヴの住まいに似た白い建物に植物が蔓延り花が咲き乱れるメリーガーデンの城の王座では長い白髪を光らせながら耳の尖った女王がゆっくりと瞳を開け宣言しました。

「メリーガーデンはこれより一千年の間、鎖国とする。入国する者も出国する者も特別な許可がない限りは反逆者とみなしその場で処刑をし、それには唯一つの例外も認めない」


ヤールの国民は次期にルルビーは自国を攻めてくると恐怖に駆られました。そして王の意思も命令も無視してラーの国に攻め入ったのでした。
王を亡くした今ラーの国を落とすのは赤子の手をひねるようでした。

イヴが居たほんの数日前とは全く正反対の世界になっていきました。
人々はまだ気づいていませんでした。
ですがそれも時間の問題だったのです。

いつの間にか人を殺すことが当たり前になっていることに。
人を殺すことが、国や自分と異なる者を征服する事が快感なことに。

ルルビーの王は最初の一人だったことに。




世界が混乱に陥っている頃、リール達はルルビーの国の外れにいました。五人が乗るには馬が足りなく仕方なく茂みや森の中を毎日何時間も歩いていました。夜は水辺を探して火を熾し、ジャックとマイティが代わる代わる見張りをして朝が来るのを待ちました。
日に日にリールは口数が少なくなり遠くや水面を見つめたままじっとしている事が増えました。マイティは起きている間は動物達から情報を集め逐一みんなに伝えました。

その日の夜も大陸を隔てる巨大な湖へと続く大きな川の側で焚き火が赤々と燃えている側にマイティが座って火の番をしていました。他の四人はぐっすりと眠っているようでした。さすがに一人の時はマイティも静かで辺りには遠くで梟が鳴く声だけが響いていました。川の中の魚も夜は水底で静かに眠っていました。

その時、木の枝で火種をつついてたマイティの耳がぴくりと動きました。手が止まり音のした方をじっと見つめました。その目線の先には川があり、真っ暗なそこを目を大きく開いて見つめます。やがて空耳かと思っていた音は大きくなりバシャバシャと水が跳ねる音になりました。側で寝ていたジャックとマイラも飛び起きるように目を覚まし起き上がりました。二人はマイティに目をやりマイティも二人を見て同じように小さく頷きました。
ジャックがリールとティアンを背に立った瞬間、川の中から傷だらけの人魚が一人上半身を岸に投げ出しました。


「……はぁっ、はぁっ、イヴ様はいらっしゃいますか」

額や身体のあちこちから赤い血を流し、長く緩やかなカールが入った髪も半分は焼け焦げていました。目が朦朧としそう呟いた声も今にも消えてしまいそうでした。
マイティはジャックの顔を見ました。ジャックは大きく頷き眠っているイヴを優しく揺り起こしました。

「よかった、やっとお会い出来……る」

人魚はずるりと川に落ちそうになりマイティとマイラは慌てて人魚の腕を片方ずつ引っ張って陸に上げました。


どこにでもないちいさなおはなしの最初へ どこにでもないちいさなおはなし 43 どこにでもないちいさなおはなし 45 どこにでもないちいさなおはなしの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前