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春の陽だまり
【初恋 恋愛小説】

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春の陽だまり-6

「そういや、さっき田んぼでなに撮ってたの?空?」
「え?れんげとか。かえるとかですけど」

遥は空に向かって右手をのばしカメラを持った手付きをする。

「こう、手を上げてたよ」
「あ、ああ。雲雀です。雲雀。でもね、なんとか探してフレームに入ったんですけど、5倍ズームじゃ無理でした。点です、点。」
「ああ、なるほどね」

彼女が笑うたびに、遥は引き込まれていく。
好かれていると感じられるってのは、うれしいものだ。
遥は『好き』が加速していくのを感じていた。

「あ、もうこの辺でいいですよ。自転車乗っちゃいます」
「そう?」
「今日はありがとうごさいました。うれしかったです」
「じゃ、またね」

智美は自転車にのって軽く手をあげ、走り去った。

ベタだが映画を見に行く約束をした。
智美は嬉しそうに目を輝かせていた。

遥にしてみれば本当に意外で。
でも、彼女の声のトーンが心地よく彼の胸に響く。

女の子から言わせるなんてちょっとカッコ悪い?
などと思いつつ、彼女の笑顔が遥の脳裏をよぎり思い出し笑いをする。


風にゆれ
柔らかに笑う。

――春先のれんげのようなヤツだ。

Fin.


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