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異界幻想
【ファンタジー 官能小説】

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異界幻想ゼヴ・セトロノシュ-19

「そりゃー俺もだよ。ラタ・パルセウムへ飛んでって消息不明になっちまったジュリアスとのリンクがいきなり復活したかと思ったら、『ミルカを連れ帰ったぞ!』だもんな。ラタ・パルセウムの空気にゃ頭をおかしくする成分でも含まれてんのかと思ったよ」
 軽い口調でまくし立ててから、ティトーは深花へ目配せした。
「安心していい。ザッフェレルは歓迎側だ……見かけは恐いけどな」
「はぁ……」
 推定身長2メートルはある大男の威圧感に閉口していた深花は、ティトーのフォローに曖昧な返事を返す。
「ザッフェレルは俺達の上官に当たり、俺の神機カイタティルマートの前搭乗者でもある。味方でない方がおかしい人物さ」
 ザッフェレルは上官。
 佐官待遇が上司という事は……ティトーはたぶん、尉官なのだろう。
 しかも昨日のチームリーダーを預かっているという発言から察するに、おそらく中尉か大尉。
 となると、ジュリアスとフラウは少尉か曹長という事か。
「軍階級は、あっちと同じなんですねー……」
 深花の呟きに、ティトーは微笑む。
「言ったろ?共通項はわりかし多いって」
「……そうでした」
 これなら、案外すぐに馴染めそうだ。
「まあ……上層部の判断にもよるけど、お前さんは曹長として組み入れられるだろうな。あの二人は少尉待遇だから、いくら重要人物でも何の実績もない人間がいきなり同じ階級つうのはまずいだろうし」
 言ってティトーは肩をすくめ、ザッフェレルの方を振り返る。
「旧交を温めるのは、また今度な」
 そして右腕を振り上げ、自らが搭乗する風の神機カイタティルマートを呼び出した。
 風が渦を巻き、三人の頭上に神機を形作る。
 シルエットは、水の神機マイレンクォードのものに近い。
 鮮やかなエメラルドグリーンに白銀色の縁取り、鏡のように磨き込まれたフェイスガード。
 そのボディラインは、どの神機よりもスマートにできていた。
 召喚の終わったカイタティルマートは、ふわりと三人の前に降り立つ。
「よろしく頼むぜ、相棒」
 呟いたティトーは、深花の腰に手を回した。
 ぐいっと体が近づくと華奢とすら言える程に細いティトーは意外にたくましく、深花はちょっとどぎまぎしてしまう。
「乗り込むぞ、開け!」
 ティトーの声に応じて、カイタティルマートの背ががぱりと開いた。
 深花の腰を抱いたままティトーは地を蹴り、ジャンプする。
 炎の神機レグヅィオルシュに乗り込まされた時と同じく、二人は背中から吸い込まれてカイタティルマートに搭乗した。
 視界は一瞬暗転したがすぐに神経接続したのか、レグヅィオルシュのものと酷似した内部が見える。
 椅子に座ったような姿勢のティトーへ、自分の体は向かい合ってくっついていた。
 素裸な互いの体にはカイタティルマートが伸ばした筋糸が絡み付き、レグヅィオルシュの時と同じく身動きできないよう拘束されている。
 自分がいなければ、ティトーはこのままカイタティルマートに吸収されてしまうかも知れないのだ。
 そう考えると、深花は固唾を飲み込む。
 自分の負った責任を思うと身が引き締まる感覚と共にどうにも制御できない恥ずかしさが込み上げてきて、思わず頬が赤らんだ。
 ティトーとくっついた箇所は前回と同じく溶け合って、見えなくなっているからまだいい。
 しかし、一体どういうさじ加減なのか……両の乳房は混合の対象に選ばれておらず、ティトーの視界にばっちりがっちり収まっているのだ。
 ジュリアスの時は次から次へと事態が移り変わったせいで恥ずかしさなど感じる暇もなかったが、今回はある程度の説明を受けている上に事態はまだ動いていない。
 これが終わったら胸を見られる事よりもっと恥ずかしい行為が待ち構えていると理解してはいるが、異性の前に肌を晒すような行為そのものに免疫がないのだから仕方ない。
 目を伏せ、赤くなってもじもじしている深花を見て……初々しいなと、ティトーは目を細める。


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