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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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幼年編 その三 レヌール城のお化け退治-4

「あ、大丈夫!?」
 リョカはヘアバンドを忘れて転んだ男の子に駆け寄り、その傷を見る。
 尖った釘が刺さっており、赤錆も浮き出ている。傷口こそ浅いが、破傷風の可能性がある。
「痛いよう! 痛いよう!」
 リョカはソレをすっと引き抜く。男の子は苦痛に顔を歪めるが、リョカは続ける。
「大丈夫。待ってて……」
 リョカは両手で印を組むと船で一通り読んで覚えた呪文を詠唱する。
「浄化の風よ、この者を蝕む壊疽の呪いを開放せよ……キアリー……」
 静かにゆっくりと風が集まり、傷口から黒いモヤが出て、そのまま霧散する。
「あとは……ホイミ……」
 簡単な印を結んだあと、詠唱を省略して治癒魔法を唱える。膝をすりむいた程度なら直ぐに回復を始め、薄いピンクの皮膚が傷口を塞ぐ。
「あとでちゃんとお医者さんに見せてね……」
「あ、ありがと……」
 二種類の魔法を即座に詠唱するリョカに向けられるのは感謝の目が二つと奇異の目が多数。彼が真空魔法を使えるというのも、あながち信じられることと、脅威を感じ始める。
「ビアンカちゃん、怒りっぽいところあるけど、本当は優しい子だし、嘘なんて言わない。信じてね……」
「うん。信じる……」
 呆然とする男の子だが、リョカのその実力が本物であることはわかる。きっとこの旅の男の子は初等真空魔法を使えるだろうと……。そして、適うならばあのレヌール城に巣食う魔物を退治することも……。

**――**

 その日の夜。ビアンカは一言も口をきいてくれなかった。いや、ただ一言だけ、「あの子は大丈夫だった?」と聞いてきたので、「うん」とだけ答えた。
 彼女は誰に言うわけでもなく、「明日謝るから心配しないで」と言い、それ以上は何も話しかけてくれなかった。

**――**

 夜、パパスは再び険悪になった二人を心配していたが、それもまたしかりと口を挟むことをしなかった。ただ一言「明日、しっかり話しなさい」とだけ言い、リョカも「うん」と答えた。

**――**

「ねぇねぇおきてよ……君、起きてってば……」
 誰かが布団を引っ張る。誰だろう? 男の子とはわかるけれど、それ以外はわからない。
「ん〜、だあれ? デボラさん、またおしっこ?」
 寝ぼけ眼を擦りながら起き上がるリョカ。そこにはお昼に助けた男の子がいた。
「君か……。もう足は平気?」
「うん。けど、そうじゃなくて……」
 男の子はおずおずと赤いヘアバンドを差し出してくれた。それは土汚れこそ落ちているものの、どこか朽ちかけた箇所のある惨めな様相をしていた。
「ゴメン。探して洗ってきたんだけど、汚れちゃったんだ……」
 すまなそうに言う男の子にリョカは笑顔で「ありがとう」という。
 ただ、この古臭いヘアバンドをビアンカは受け取ってくれるだろうか? ダサい、汚い、壊れかけ……。そういう次元ではない失態を犯していることぐらい、リョカにもわかる。
「ビアンカに酷いことしちゃったし……」
「そのビアンカさんのことなんだけど、一人で行っちゃったんだ!」
「どこに?」
「レヌール城に……。僕がこれを探してたら、ビアンカさんがこっそり衛兵の脇をすり抜けていくのが見えたんだ」
「な!」
 リョカは心底驚いた。今日の夕飯をまだ日が沈む前に済ませたビアンカ。彼女は直ぐにお風呂に入ると、そのまま布団に入ったはずだ。それはもしかしたら今こうして夜に町を抜け出すための布石だったのではないか?
「どどどうしよ!」
 パパスに報告すべきか? だが、父は調べ物があるらしく、夕飯後から外している。アルパカの町並みに詳しくないリョカが探すのは困難というものだ。
「ねえ旅の君は強いんでしょ? お願いだよ。きっとビアンカさん、キンタとサンタの言うこと真に受けて行ったんだよ! だから……」
「う、うん。でもお城の場所が……」
「僕が近くまで案内するから……だから!」
 男の子はぶるぶる震えている。けれど、それ以上に女の子を一人、お化けの巣窟に行かせたことを後悔しているらしく、その責任で奮い立っていた。
「そう、じゃあお願いするよ!」
 リョカは道具袋を取ると、寝ていたシドレーごと宿を出た……。


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