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三人の男たちの冬物語
【SM 官能小説】

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三人の男たちの冬物語(短編3)-1

妻のアキコが家を出たのは三週間前だった。そして、私は妻の印鑑だけが押された離婚届けを
手にしていた。


私が五十歳であの会社をやめてから、もう半年になる。

突然だった…本社から子会社に出向させられた私に、仕事はあたえられなかった。
苦痛だった。あれだけ会社のために尽くした自分は、いったい何だったのか…自問自答を繰り返
す日々が続いた。

まるで檻のような資料室の窓際にポツンと置かれた机につき、トイレ掃除と資料整理以外の仕事
は与えられなかった。黒縁の眼鏡をした化粧の濃い中年の女が、ときどき私のところを見回りに
来た。その女は、まるで自分の使用人のように私を叱咤し、嘲笑った。


魔がさしたのかもしれない。

いや…その女が誘ったのだ。事務服の短いスカートから覗いたパンティとパンストに包まれたむ
っちりとした脚…私にそんなことができるとは思ってもいなかった。懐かしいペニスの疼きと
ともに、私は、ついふらふらとその女の前に跪き、その足首に触れてしまったのだ。

そのとき、女が薄く笑った。

考えもしなかった…セクハラというレッテルを貼られた私は、退職を余儀なくされた。そして、
退職したその夜に、私はアキコのからだを求めた。


…いやだわ…今夜は…

そんな言葉を遮るように、私はアキコの下着を乱暴に剥ぎとり、夢中で妻の白い肌を貪った。
しかし、息の荒さとは違って、自分でもどうしたいのかわからない空虚な愛撫と、いつものよう
に、萎えたままのペニスは、アキコの漆黒の陰毛を湿らすこともなかった。

アキコの女の部分に、私は強引に指を触れた。もう忘れてしまった妻の陰毛も性器も乾ききって
いた。アキコは、その私の指を嫌がるように払いのけ、私に背を向けた。そしてベッドの中で小
さなためいきをついていた。



都心の小さな中古のマンションが、子供のいない私たち夫婦のすべてだった。

妻がいなくなった家には、十年もの間、私がここでアキコとどんな生活をしてきたのか、思い
出せるものは何もなかった。ただ妻の残像だけが、霞んだようにぼんやりと浮かぶ。


十歳年下のアキコとは、ある知人の紹介でつき合い始めた。アキコは、一度結婚したことがあっ
たが、前の夫の話をアキコが口にすることはなかった。
アキコは、私のプロポーズに対して躊躇った末、ようやく私を受け入れてくれた。



でも、いつから私はアキコに対する欲情を失い始めていったのだろうか…。抱いたアキコを
満足させようと思えば思うほど、私のものは縮かみ、いつまで萎え続けていた。

妻の下着の下にある豊満な乳房や性器、むっちりとした太腿…抱きよせたふっくらとした肉づき
のいいアキコのからだに対する性の躊躇いは、やがて私自身の体に対する劣等感となり、いつか
らか、アキコに対しての愛撫のやり方さえ忘れてしまっていたのだ。

セックスレス…そんな言葉が、いつの間にか私たち夫婦の間に、暗にあたりまえのようにあった
ことに、私は見て見ぬふりをしていたのだ。いや…私たちは心の奥底でお互いが何を望んでいる
のかが、わからなくなっていた。




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