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すく☆ぶす
【ファンタジー 官能小説】

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すく☆ぶす-1

俺は昔から神なんて信じた事は無かった。
だから、こんな幻が何を騒ごうと知った事じゃないんだ。

『あの、ですから私、サキュバスなんです』

仕事でくたくたになって帰ってきたら、見知らぬ女子高生がベッドに座っていた。
一瞬だけ喜んだが、すぐに警察に通報しようとしたら止められた。

一体どうやって入ったのかと聞いたら
『私、サキュバスですから入れるんです』
と返され、訳が分からないので窓を調べてみたが、抉じ開けた形跡は無かった。

『私、鈴音っていいます。鈴の音と書いてリリスです』
「別に名前なんて聞いてない。そのサキュバスってのはなんなんだよ」
『お願いです、助けて下さい、私もうお腹がぺこぺこで今にも魂が体から抜けそうなんです!』

もしかして、いま流行りの・・・って訳ではなさそうだが、家出少女ってやつだろうか。
ブレザーの制服に赤いリボン、黒い縁の眼鏡をかけた、いかにも真面目そうな外見だった。
二つ結びにしている黒髪は、文化系の様な雰囲気を匂わせる。
こんな、親御さんに反抗した事がなさそうな子が家出とは、世も末だよな。

「そうか、まあ君にも色々事情があるだろう。だが勝手に人の家に入るのはいけないんだぞ」
『分かってます。でももう・・・本当に・・・』
「お、おい?!」

女の子は、鈴音はふらりと力が抜け、ベッドに傾れ込む様に倒れてしまった。

「だ、大丈夫か?」

頬を擦ってみたが反応が無い。
だが微かに呼吸はしているので、気を失った訳では無さそうだ。
そういや腹が減ってると言ってたな。
・・・泥棒に何か恵むというのもあれだが、相手はまだ子供だ。見捨てるのはちょっと可哀想な気がする。

それに、もしかしてこれは、彼女に振られて以来全く女っ気の無い俺へ、神からのプレゼントかもしれな・・・
いや、俺は神なんか信じた事は無い。それよりこの子を助けるのが先だ。

何かすぐに腹を満たせるものがあればいいんだが。
冷蔵庫を漁ってみたが見事に酒しか無い。あとはピーナッツだとか、酒の肴ばっかり。
緊急事態とはいえ全く食い物を用意していないとは、俺は気が利かない男だ。
そういえば最近は料理しないで外で済ましてばかりだったからな。
仕方ない、買ってくるか。
辛いだろうがちょっとだけ我慢してもらおう。すぐ戻るからな。


¨サキュバスは人間の食い物なんか腹の足しにならねえんだよ¨


突然、頭の中に声が響いた。
あの子以外に誰かいるのかと振り返ると・・・

『腹減ってるっつってんだからよ、素直にチンポ出せよこの女日照りが!!』

一瞬誰か分からなかったが、あの眼鏡をかけた女の子がベッドから起き上がり、こちらを睨み付けていた。
さっきまでのおどおどした弱気な態度はすっかり成を潜め、すっかり目が座っている。


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