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『屋上の青、コンクリートの灰』
【ボーイズ 恋愛小説】

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『屋上の青、コンクリートの灰』-8

 急いで筆箱を持って石井のところへ駆け寄る。
 石井はいつも憎たらしいくらい横暴だけど、ときどき、こんな風に優しい。
 それはとても分かりづらいけれど、だからこそ分かったときは倍くらいに嬉しくなる。

「越智」
 顔をしかめ石井が振り返った。
「遅い」

 そして腕を引っ張られ、重心が崩れそうになった。
 お構いなしに腕を引っ張ったまま石井は廊下を歩く。やっぱり石井は横暴だ。

 でもこうして見ると大分背が伸びた。元から石井の方が背が高かったけど、高校2年の今じゃその差は歴然だ。
 それから少し、男っぽくなった。だけど変な感じだ。こうしていると、3年前に戻ったみたいだ。


「……なあ」
 
 ふと石井が立ち止まる。視線は窓の外を向いていて、そして今日は快晴だった。

「越智。やっぱフケるぞ」

 返事は聞かずに石井はまた僕を引っ張っていく。
 石井がこんな行動を起こすのは、一度や二度じゃなかった。
「石井!ダメだ…ってば!早く行かないと……」
 言うとパッといきなり手が離された。
 そしてスタスタと一人で石井は歩き出してしまう。
 そうされてしまうと、決まって僕は石井についてってしまうのだ。この小心者。 

 石井がなにをしたいのかはいつも分からず仕舞いだけれど、行く先だけはなんとなく分かる。きっと屋上だ。




 
「すげーな、雲がねえわ今日」

 眩しいのか、石井が空を見上げて目を細めた。
 屋上はドアを開けるなり、真っ青な空が広がっていた。
 入り口からでも見える校庭のグラウンド、町並み。最初の頃は僕だってはしゃいで喜んだけど。

「……絶対怒ってるよ藤原」
  
 気持ち良さそうな石井とは対照的に、僕は今全然そんな気分じゃない。
 いい加減石井に逆らえない自分にうんざりしてしまう。高校生にもなって、なにやってんだろうか僕は。石井に対しては中学のままだというのか。

「怒る前に気づかねえよ。いっつも藤原出席とらないじゃん」
 気にすんな、と言い石井は屋上の背の高いフェンスに寄っかかった。
「……気づくかもしんないじゃん」
「気づいたら気づいただろ」
「……」
 
 石井はこうだ。ずっと。奔放という言葉そのものみたいな性格。
 僕はやっぱり石井の言うように悪い意味で頑なで、石井みたいに自由にできない。
 ホント、男としては情けなく感じてしまう。こんな対比して落ち込んでいることですら。
 



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