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ヲタク彼氏
【コメディ 恋愛小説】

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**誰も彼もちんぷんかんぷん**-3

「で、どうなの?好きなの?」
「すっすきって?!私が瀬戸先輩をですか?!ありえませんよ!!あんなちんぷんかんぷんな人!!巻き込まれていい迷惑です!!」
「なんだ。てっきり好きだと思ってたのに。」
「片桐先輩は・・その・・どうなんですか?」
「どうって?」

うぅ・・。なんとも聞きづらい。
でもせっかくの機会だし・・。

「前に私に言ったじゃないですか。晴輝は俺の・・的な感じの・・。」
「あぁ、あれね。深い意味はないよ。ただの予防線かな。晴輝に変な女が近づかないように。」
「変な女?!私のことですか?!」
「うん。だいたいの女はそう言えば近寄ってこなくなるんだけど、日和ちゃんは特殊だったね。」
「特殊・・?」
「晴輝から声かけたんでしょ?」
「ええ、まぁ・・」
「だから気にしてなかったんだけど、結局巻き込まれちゃったね。」

飲み物でも持ってくるから、ちょっと待っててと言って先輩は部屋を出てってしまった。
何と言うか、話がよく見えない。結局、瀬戸先輩と片桐先輩はどんな関係なんだろう。小学校時代からの付き合いって聞いたけど、長い付き合いでそこまで立ち入るのかな。
まるで今まで片桐先輩が瀬戸先輩を女の子から守ってあげていたような言い方・・。

「はい、牛乳。」
「あぁ、どうも。」

やっぱり牛乳なんだ。好きだけどね。気を使ってくれたのか、温かいホットミルク。こういうことされたら女の子は好きになっちゃうんだろうな。私に合わせてくれたのか少し甘めでおいしい。

「片桐先輩は瀬戸先輩と小さい頃から仲良しなんですよね?」
「うん、昔というか俺がこっちに引っ越していてからかな。」
「転校生だったんですか?」
「そう、でも身体が弱くて小学校はほとんど行けなかった。」

それから聞いた話はなんとも王道で、ありきたりな話だったけど私はなんだか泣きそうになった。

身体が弱くて、学校に行けなかった片桐先輩のもとへ
瀬戸先輩はよく訪れ、次第に仲良くなっていったこと。
勉強は出来ても友達を作るのが苦手な片桐先輩は、なかなか素直になれなかったけど、そんなことはお構いなしに瀬戸先輩は話しかけてくれたこと。
中学に入学する頃には身体もだいぶよくなり学校に通えるようになったことを自分のことのように瀬戸先輩は喜んでくれたこと。

「なんて漫画みたいなことがあったらすごいよねー」
「えぇ?!実話じゃないんですか?!」
「ありえないでしょ?そんなの。普通に健康。」
「ちょっ、人の涙と返してください!!」
「日和ちゃん泣いてないじゃん。」
「心の中では大号泣してたんです!!」
「なにそれ?」

少し呆れながら、でも楽しそうに笑って私の頭をなでてくれる。
きっと今の話は嘘でも片桐先輩が瀬戸先輩のことを大切に想っている気持ちは嘘じゃないと思う。
そう言うと気持ち悪いこと言うなと頭をはたかれたけど(ちょっと痛かった)なんだかほんの少しだけ片桐先輩に近づけた気がして嬉しくなった。先輩についてはいろんな話を聞いて遠い人のように思っていたけど、話してみれば普通の人で
笑った顔は私の大好きな王子様スマイルでやっぱり素敵な人だなって思う。


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