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華詞―ハナコトバ―
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華詞―ハナコトバ―2の花-1

華詞―ハナコトバ ―

2の花 早坂 美貴子

私の名前はみきこ。美しい貴い子と書いて美貴子。
本当の事を言うと2文字の名前に憧れてた。アヤ、サキ、エリ、ミキ…。
友達にはミキと呼ばれるのが殆んどだし、私も2文字の方が親しみやすくて良いと思っていたの。

でも、今は美貴子って名前も案外悪くないって思えるんだよ。



「ミキー!このアイス超おいしいから食べて見て!」

ちんすこうを頬張っていると、後ろからクラスメイトで親友のサキに声をかけられる。
目の前に綺麗な紫色のアイスが差し出される。

「紅芋アイスだよ〜ハヤトが食べてるのはシークワサーアイスと紅芋アイスのダ
ブルだって!ミキはどれにする?」

紅芋アイスを一口食べると、まだ口に残っているちんすこうと混ざって甘くて美
味しい味が広がる。

「本当だ〜凄くおいしい!」

「…おい、ミキコ。ちんすこうとアイスいっぺんに食うなんて食い意地張ってん
なー。」

笑いながら話しかけてくるのは同じクラスでリーダー的な存在の隼人だ。

「なによ、ハヤトだってアイス二段にしてるくせに。」

私が怒ると、隼人はカラカラと笑って私が持っていた食べかけのちんすこうを取
り上げた。

「ちょっと、それ、私の食べかけ!」

奪い返そうと手を伸ばすが簡単にかわされてしまう。
ハヤトはバスケ部で背も180cmと大きいから160cmの私では上に持ち上げられると
取り返すのは不可能なのだ。

「良いじゃん。ミキコ、食い過ぎると帰ってから泣くぞ?」

ニヤリと笑うと隼人はちんすこうを一口で食べてしまった。

私たちは修学旅行で沖縄に来ている。
名前で呼び合うほど男女の仲良が良いクラスで、特に小野隼人はバスケ部
でキャプテンをやっているだけあって、クラスをまとめるのが上手く、男女共に人気があった。
スポーツ万能で顔もまぁまぁカッコイイ隼人に憧れてる女の子も少なくなかったし、実は私もその一人だったりする。
でも隼人は私の事を話しやすい女子の一人として見ているんだと思うし、
下手に告白してクラスの雰囲気を壊したくなくて気になっていることは誰にも言えないでいる。

「もー!代わりにアイスおごってもらうからね!」

「はぁ?なんでミキコにおごらなきゃいけねーんだよ。あ、俺の食べかけやるよ。」

隼人が笑いながら舌を出すと舌が紫に染まっている。


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