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初詣
【OL/お姉さん 官能小説】

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初詣-2

「ねえ、どうするのよ?…これから」

「ジャーン!」

沙耶が袂から取り出したのはデジカメだった。

「何それ?振り袖最後の記念撮影?」

「馬鹿っ、こういう物はこうやって使うのよ。」

沙耶は辺りを見回すと私の手を引いて、茶店の横に佇む二人連れの若い男の子に駆け寄った。

「すみませ〜ん、シャッター押してくれませんか?」

さすがはこの年増女。
悪だくみにかけては常々賞賛に値する。

「あ、あぁいいですよ。
じゃ…ここでいいですか?」

ちょっと若過ぎたかも知れない。
女二人といっても明らかに年上に対する口調だった。

「ありがとう。
すごい人混みですね、どこから来たんです?」

沙耶が素早く喰らいつく。

「西田辺の方…」

「えぇっ!?近くじゃない。
私たち市原からよ。
どこか近くでちょっと落ち着けるとこないかしら?」

さすがは沙耶。
よくもまぁぬけぬけと適当な事が言える…
私たちの家は市原なんかじゃない。
見事な必殺ヤリ逃げ作戦だ。

するとそこへ…

「待たせてごめぇん。」

お誂え向きの若い振り袖娘が現れる。

「おトイレ混んじゃって…誰アレ?」

女はそんなような事を言ってちらりと振り返る。
そうこうしてるうちにもう一人の方の彼女も追いついてきて、さっさと歩き去ってしまった。

「何よ、まったく…
近頃の若い者ったら目つきが悪くて感じ悪いったらあったもんじゃないっ!
着物の裾にションベンひっかけちゃえ、ズベ公っ!」

沙耶が両手握りしめて彼らを見送る。
まぁ現実はこんなもんだ…
それにしても[ ズベ公 ]って、いつの言葉だろ?

そういえば冷えたのか、私もオシッコしたくなってきた。

「沙耶…オシッコ…」

「ちょっと我慢なさいよ、そのぐらい。
この行列に並んでたら陽が暮れちゃうわよ。
私たちの青春は二度と戻らないのよ!」

…そんな大袈裟な。
とにかくその作戦で神社の境内に佇む男たちに片っ端からデジカメを手渡した。

それはそれでモサいとか、ゲイみたいとか沙耶は難癖をつける。

だいたいフリーの若い男が二人連れで初詣なんて、そうあり得ない話だろう。


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