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襖の向こう
【父娘相姦 官能小説】

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其の温もり-2

「お父さん、開けるよ?」
「開けてから言うな」

怜の迂闊な行動を注意したが、銀太郎は優しく微笑みながら迎えてくれた。
普段から作務衣を身に付けており、和室で座布団に正座している姿はお坊さんの様にも見えた。

「ごめん、まだ仕事中だった?」
「いや。丁度ペン入れが終わったところだ。あとは明日ベタ塗りと修正すれば完了だな」
「ちょっと見てもいい?」
「まだインクが乾いてないから、触るのはだめだぞ。見るだけな」

怜は机に置かれている原稿に目を走らせた。
乳房、乳房、また乳房、どこを見ても乳房だらけで、まるで巨峰みたいにも見えた。
家に訪ねてくる担当の人も同じ様な事を言ってたのを思い出す。

「凄ーい、本当におっぱいだらけ・・・あっこれ!」

女の子が男の下半身に跨っている場面を見つけ、声が跳ねる。
間違いなく先日モデルになった時に描かれた絵だった。
紙からはみ出しそうな程大きく描かれているので、おそろく話の山場だろう。


「いい顔だろ。息遣いまで聞こえてきそうだろう?」
「・・・あ・・・っ」


銀太郎が立ち上がり、後ろから怜を抱き寄せる。ゆったりと波打つ鼓動が、怜の背中を規則的に鳴らした。

普段は岩の様に動かない父親の顔も、自分と二人だけの時は生命を得た様に動く−
怜の鼓動は、父親と同調する様に速くなっていった。

「くすぐったいよ、お父さん」
「そうか?でも止めない」

いつしか怜は、座布団に胡坐を掻く銀太郎の膝にお尻を下ろしていた。
まるで犬や猫を可愛がる様に体を撫でてくる、銀太郎の太い手。

「なんでおっぱい触るの。ちょっと、やだー」
「触ってないよ。たまたま触れてるだけだ」
「もうっ、エッチ。お父さんの頭って仕事とおっぱいしか無いんじゃない?」
「怜と小夜の事も考えてるぞ。小夜はもう少し育ってほしいな、分けてやれよ怜」

何げに酷いこと言ってるなぁ、と怜は思った。

(良かった。お父さん、ちゃんと笑う様になってくれて)

怜は、今より少し前の銀太郎を思い出していた。
担当が来る度に漫画の構成がありきたりと言われ、頭を抱えていた姿を・・・

襖の隙間から見る父親はいつも眉間に皺を刻んでいた。
姉である小夜は全く気付いていなかったが、怜は銀太郎が元気を無くしていくのを痛いほど感じていた。

小さな頃に初めて父親の描いた漫画を見て以来、怜はその絵の虜になってしまった。
小夜は見るのも嫌がっていたが、怜はほぼ毎日食い入る様に原稿を見ていたのだ。
まだ小学生の時から成年向けの漫画に夢中な怜を、銀太郎は心配していた。
しかし、特に学校や家で変な行動をする事は無かったので、次第に心配しなくなっていったのだった。

「おとぉさぁん、あの・・・してもいい?」
「ごめんな。仕事中じゃないと出来ないんだ」

何度かおねだりしてみたが、銀太郎は優しく断るだけだった。
怜は諦めて銀太郎におやすみと声をかけて、自分の部屋に戻る。



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