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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#01  邂逅-4

「き――岐島、仙山……?」



岐島仙山(キジマ センザン)。

私と同じ一年B組所属の男子生徒。

それだけならば、会って三ヶ月ちょいの私が下の名前まで覚えているわけがない。こいつの特徴は氏名のすべての文字に『山』が付くことと――、入学式で新入生の挨拶を行ったってことだ。つまり、私のような中学からのエスカレーター組を除いた、高校入学試験を受けた生徒の中でトップの成績だったということである。

備考だが、そのときの在校生の挨拶は私の姉、当時生徒副会長だった香織がやった。まぁ、だからこそ、岐島のコトも覚えていたんだが……。

未だバクつく胸を白いセーラー服の上からキュッと押さえながらも、私は九割方八つ当たりの敵愾心たっぷりに岐島をにらんだ。

岐島も岐島でうっすらと目を開けて私を見つめ返してきたが、それだけだった。

能面のような無表情を微塵も変えようとはしない。

そりゃ、学年一の秀才君にしてみれば、私なんぞ、挨拶どころか視界に入れるのすら面倒なヤツなんだろうが――それでも、やっぱり、腹が立つ。

ビルマからの説教の腹いせもあったのかもしれない。私はワザワザ、聞こえるように大きく舌打ちをするとカバンからタバコとライターを取り出し、極めて『不良』らしい行動を取った。



――カチッ…………カチッ……カチッカチカチカチッ……



だけど、運が悪いことにライターのオイルが切れていた。

一瞬、ポッと火を出したのを最後に、百円ライターの使命をまっとうしやがった。

……。いまの私、めっちゃ、ダサいな。



「ちっ!」



私はライターを屋上の硬いタイルの上へと投げ捨てた。

数回、バウンドした後、排水溝へと滑り落ちていったライターをにらむと、そのまま岐島へとその眼差しを向けた。

うん、完全な八つ当たりだ。分かってるよっ!



「…………。……?――んだよ?」



岐島は無愛想に私と死角へと消えたライターとを交互に見つめた。

私はその所作が妙に癇に障り、いささか、乱暴に問いかけたのだった。

そうすれば(この学校に通っているような)普通の生徒ならば目を背けるなり、なんなりするのだろうが、岐島は右手の平を上にし、人差し指をクイクイと折り曲げを繰り返した。

予想外かつ意味が分からなかったが、私は『近寄れ』ということだろうと勝手に判断し、大股で――威嚇するように――歩み寄る。




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