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葉月真琴の事件慕〜欅ホール殺人事件
【推理 推理小説】

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葉月真琴の事件慕〜欅ホール殺人事件-12

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 控え室を出てきた真琴と真帆にスタッフといわずそこに居た大半の人が驚く。
 真帆は真琴の腕を取り、恋人のようにべったりとくっついているのだ。
「真琴、どうしたの?」
 澪は突然の展開に間の抜けた声を出す。
「あ、うん。えと……」
「今日はありがとうね。真琴君。真帆の為に応援に来てくれてすっごく嬉しいな」
 歌声のような声とピンクの雰囲気のこぼれる笑顔を真琴に向ける真帆。
 その様子にファンの男達と梓は石のように固まる。
「石塚さん。その人達は?」
 唖然としていたのは達弘も同じだが、彼女に水を向けられると顔をぶるっと振ってから気を取り直す。
「ああ、五十嵐さんのファンらしくって、花束をだって……」
 達弘は固まったままのファンの腕から花束を取り上げると、真帆に渡す。
「まあ、ありがとう。真琴君、持って」
 これ以上無いというくらいの微笑みを見せたあと、花束は無造作に真琴へと渡される。
「あ、うん。澪、持って……」
 真琴も片手でそれを持つのは大変なのでそれを澪に手渡す。
「えと、梓いる?」
「いらない」
 受け取ってしまった澪はさらに梓に振ろうとするが、彼女は受け取り拒否。ただ、問題なのはその花束に花粉を舞い散らせるものがちらほらあり……。
「ふぁ、ふぁ……、ふぁくしょんっ!!」
 豪快な澪のくしゃみで花束の一部は吹き飛んでしまう。
「あ、あはは、あはは……ごみんなさい……」
 茎だけになった花束を見つめたあと、澪はそれを手近にあった机の上へと置く。
「邪魔……」
 すると今まで音響機器に神経を注いでいた石川がヘッドホンをしたまま無造作に茎束を燃えるゴミの袋へと投げ入れる。
「あ、あと石塚さん、今のところで効果音ね。本番では忘れないでください」
 そう言うと、再びヘッドホンを付け直して音響機器に向き直る。
「あ、はい。わかりました。……えと、そういうわけなので、お引取りください」
 達弘は苦笑を堪えるた複雑な表情でファンの男達をホールへのドアへと追いやる。ファンも強引な達弘に抗えず、そのままなし崩し的に去っていった。
 ようやく落着した騒動に、真帆はほっと胸を撫で下ろす。
「それじゃあ本番前ですし、お昼食べに行きますね。真琴君、行きましょうか?」
「え? あ、はい……」
 だが、真帆は真琴の腕を取ったまま、下手側へと向かう。
「ま、待ってよ!」
 梓はそれを追おうとするも、澪に腕をつかまれる。
「な、何よ。離してよ」
「その前に散らかった花を片付けるの手伝って……」
 涙と鼻水を啜る澪に頼まれ、梓はしぶしぶ花を拾うのを手伝った……。


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