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明日、君が笑えるために
【初恋 恋愛小説】

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明日、君が笑えるために-2

多くの人がそうであるように、僕のちっぽけで幼い初恋も、結局実ることはなかった。
彼女は家から少しだけ遠くの進学校に通うことになり、そして3年後には東京の大学に受かってこの町から出ていってしまった。

出発する前日の夜、僕の携帯に彼女から電話がかかってきた。
長らく表示されることもなかった名前がディスプレイに映し出された時、僕は懐かしさと戸惑いが入り交じった複雑な気持ちになった。

しばらく振りだね、と言って少しの間世間話をしたあと、彼女は僕のことを気にかけるように、「大丈夫?」と口をこぼした。
彼女が言いたかったのは、私が居なくなっても僕がしっかりやっていけるか、という意味の「大丈夫?」だった。
昔から、そんなことばっか言ってきたよね、と僕は受話器越しに苦笑いした。
出来の悪い弟を持つと苦労するのよ、と彼女は昔通りの憎まれ口を叩いた。

そしてその後は、必ず僕の味方になってくれた。
絶対に、何があっても。

「だって私、あなたのお姉さんだもんね」

彼女は電話口に優しくそう告げた。
その言葉は僕にとって、安心と、胸をしめつける痛みを同時にくれた。
そして、僕らの関係がもう二度と変わることはないという決定的な宣告だった。


「…大丈夫だよ」

携帯を持つ手を固く握りしめる。

声が震えそうになる。
それでも、伝えなきゃいけないと思った。

「ねえ、聞いてよ?」

心配性な僕の姉さんへ。
最初で最後の嘘を。
どうか信じてくれるようにと、心で願った。


「僕さ、好きな人ができたんだ」


end


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