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聖夜
【その他 官能小説】

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聖夜(その1)-2

「…あ…あなたが、望んだことです…その灯りに向かって跪き、祈るのです…」

私は、神父の震える声をさえぎるように、彼の黒い瞳の中を真っ直ぐに見つめる。その私の視線
に神父の瞳の中が揺らいだとき、彼の私に対する戸惑いがはっきりとわかった気がした。


「…もっと、近くで見て欲しいわ…神父様…」

私は神父の前に近づく。神父は恐れるように震える指を私の頬に触れる。冷たい指先が私の頬か
ら唇をなぞり、乳房を包み込むように掌が添えられる。そして、彼はゆっくりと私の裸体の前に
跪くと、私の腹部に、なにか懐かしいものにでも触れるように頬を寄せる。

神父のざらりとした頬の皮膚が、吸いつくようになじみながら私の肌を撫で上げる。
やがて彼の唇が私の下腹を這い、陰部へと向かう。神父は私の下半身を抱き、愛おしく私の性器
に頬ずりをした。

時間が一瞬止まったような気がした。湿った冷気が、私たちを微睡みに誘うように包み込む…。


私はその神父の行為を振り払い、軽くお辞儀をすると、神父に白い背中を向け、冷たい石畳の床
に膝をつく。そして、胸の前で手を合わせた。神父もまた手をあわせて何かをつぶやいていた。
私の膝元にある蝋燭の灯りが、陰部を照らし、靡いた漆黒の陰毛が陽炎のようにきらきらと光沢
を放っていた。


「…目の前の棒を、しっかり握りなさい…」

私は跪いたまま、目の前の壁に取り付けられた鉄の棒を両手で握りしめる。神父の前にこうして
背中を晒す恥辱こそが、すでに罰というものが私に与えられているような気がした。

神父はゆっくりと壁にかけてある鞭を手にした。蛇皮のようなざらりとした一本鞭を神父は私の
頬に這わせた。神父はゆっくりと垂れ下がった鞭の先端で、私の白く滑らかな背中をなぞってい
る。背中の蒼い翳りから臀部へと神父の視線を感じる。私の中が、どこか甘美で恍惚とした陶酔
に似たものによって、ひたひたと充たされてくる。

そして、仄かな蝋燭の灯りの中で、神父は、私の背後で手にした鞭を振り上げた。

…ビシッ…

風を切るような鋭い鞭の音とともに、私の背中に激痛が走り、からだの中を突き抜けていった。
呻き声をあげ、その苦痛に耐えるように私は両手で強く棒を握りしめるのだった…。




それは、K…氏の最期に、彼から聞いた私の母である麗子の物語だった。



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