投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『魔人』と『女聖騎士』
【ファンタジー 官能小説】

『魔人』と『女聖騎士』の最初へ 『魔人』と『女聖騎士』 76 『魔人』と『女聖騎士』 78 『魔人』と『女聖騎士』の最後へ

第二話――魔人と聖人と聖女の王国-2

「………………ふぅ」



ほっ、とアリスは安堵の溜息を吐いた。

そして、隣で自分に半ば体重を預けてウツラウツラと櫓を漕ぐ愛しき男――パスクへと目を送る。

サラサラと流れるような銀髪を後頭部で纏めた端整な寝顔だ。

しかし、その右腹部には未だ予断の許されない深い傷を負っていた。

昨日の夕方、アムシエル砦から脱出後、再開した時にはすでに負っていた傷だ。

内臓こそ傷付いていなかったから良かったものの、一歩間違えば致命傷に成りえたほどの重体である。

昨晩は熱が出て、大変であった。

なにせ、パスクは熱が出ているにもかかわらず、平然と過ごしているのだ。

アリスが深夜頃に「おや?」と思わなければ、今だって素知らぬ顔で過ごしていただろう。



――まったく、魔導師のくせにタフで、向こう見ず過ぎる。

少しは、頼ってくれても良いのだ。

そりゃあ、『魔人』とまで呼ばれ、この地上界と魔界とを繋ぐ『門』を開くことすらできる高位の魔導師からすれば、半分、コネで『聖騎士』の称号を得ただけの自分では実に頼りないかもしれないが……。



アリスは小さく頬を膨らませるとそっとパスクの頬を撫でた。

すると、「う、うぅん……」と唸り、パスクは薄っすらと瞼を開ける。



「あっ――すまない。起こしてしまったか?」



「いえ……それより、私は寝てしまったのですか?」



パスクはキョロキョロと視線を辺りに巡らせるが、幌馬車のため、外の様子を知ることは適わなかった。

そんなパスクの様子が可笑しく、クスリ、と微笑むとアリスは教えてやる。




『魔人』と『女聖騎士』の最初へ 『魔人』と『女聖騎士』 76 『魔人』と『女聖騎士』 78 『魔人』と『女聖騎士』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前