投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉
【レイプ 官能小説】

枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉の最初へ 枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉 2 枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉 4 枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉の最後へ

枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-3

**――**

「すみませんでした……」
「まぁ、お怪我がなくてなによりです……。お酒は楽しく節度を持ってたしなんでくださいね」
 店員に頭を下げるのは幹事の湯川紀一。ようやく酔いが醒めてきた武彦にも同席させ、何度も頭を下げさせる。
 二人のつかみ合いで小部屋の畳がやや汚れてしまったものの、破損物が無いことから大事にならずに済ませてもらえた。ただ、これからはサークルの飲み会にこの店を使いづらくなるのは必至だが。
 頭は下げたものの、憮然としている武彦。対する夏雄はというと、荒れているという風ではなく、他の部員と他愛の無い話をしている。
 そして、何か思いついたのか大きく頷くと、武彦のほうへ歩み寄る。
「いやあ、三島、悪かったよ。お前がさつきちゃんと付き合ってるの、知らなくてな。悪かった悪かった。他のメンバーにも悪かったよ。ちょっとハメを外しすぎたわ。これからは気をつけるから、勘弁してくれ」
 夏雄は陽気な調子で皆に頭を下げて回る。普段は偉ぶる夏雄が頭を下げて回るのは、他の部員からして気味のよいこと。また、しおらしく謝っていることもあり、特に責める者もいない。
「おい、武彦……」
 紀一はまだ仏頂面の彼のわき腹をつつき、取るべき態度を促す。
「ああ……。皆さん、すみませんした。自分、酒が入っていて、その、雰囲気ぶち壊して……とにかく、すみませんっした!」
 メンバーも彼が彼女に手を出されてのことと知っているため、ある程度は理解しているらしく、苦笑いで「気をつけろ」という感じで流す。
「それじゃ、今日はお開きってことで……」
「はい、解散解散っと……」
「おつかれっした!」
 生ぬるい夜風に煽られ、酔いの醒めてきた面々は徐々に解散していき、二次会に行くものもちらほらと様々。そんな中、武彦は痛むこぶしに苦い顔をしながら立ち尽くしていた。
 驚くさつきを引き離し、夏雄の胸倉に一撃加えた。特にケンカなれしていない彼のこぶしはヒットと同時に捻ったらしく、鈍い痛みがある。
「もう、武彦ってば……」
 いつの間にかやってきたさつきが彼の頭に軽くチョップすると、その手をとる。
「しょうがねえだろ」
「しょうがなくないよ。もう〜、明日ちゃんと謝らないとだめだよ?」
 自分は何も悪いことはしていない。そう思っている彼はそれが表情に出たままの仏頂面。
「ほんとしょうがない人ね。でもま……嬉しかったよ……」
 ポツリと漏れる本音。その一言だけでも武彦は救われた気がした。
「お〜い、武彦」
 二人の世界に割って入るのは紀一の声。彼は夏雄達と一緒に居り、二人を手招きしている。
「なんだ?」
「今から二次会だけど、参加してくれよ」
「え?」
 先ほどの飲み会をお開きにさせた武彦としては、自戒というよりばつの悪さで参加したくないのが本音。それを悟ってか、紀一は彼の腕を取り、小声で話し出す。
「いやさ、三谷先輩がお詫びだからって言うんだよ」
「けど……」
「お前も悪いところあったんだし、水に流せるうちにちゃっちゃと終らせたほうがいいと思うぞ? 多分三谷先輩もそのつもりだろうしさ……」
 つまり、仲直りのための二次会。酔いも醒め始め、多少なり自責の念が生まれてきた武彦は心がぐらっとくる。
「ね、行こうよ。武彦」
 それを後押しするかのようにさつきが促す。
「あ、ああ、わかったよ」
「よし、決まり! 先輩! 二人も行くって!」
 紀一は張り切って夏雄たちに言い、二次会の店へと舵を切った……。


枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉の最初へ 枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉 2 枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉 4 枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前