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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉
【レイプ 官能小説】

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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-26

 肉じゃがと牛丼という大衆食堂的な献立だが、味は十分な代物。ひとしきり平らげた後、三年の差し入れとしてイカの燻製や鮭トバなど酒のつまみが持ち込まれ、良子の持ち出した大瓶サイズのウイスキーを前に、軽く飲み会が始まった。
 武彦は以前のことを思い出し、明日の予定を話し合うことを口実にその場を抜ける。
 調理場では既に紀一と智之がノートと赤ペンを片手に頭を捻っており、後ろでさつきが洗いものをしていた。
「おっす、どうだ、そっちは?」
「ああ、まぁ、大体決めてるんだけど、明日オリエンテーリングってのはムズイよな? 道とかぬかるんでるし」
 大分弱まった雨だが、思い出したようにぽつぽつと音を立てては、止むを繰り返す。
「そうだな、最悪、なしにするか?」
「う〜ん、となると、代替案がなぁ……」
「また智之特製の障害物競走でもするか?」
 意外と好評らしく、智之もまんざらというわけではない。だが、それではあまりにも子供騙しなところがあり、再び頭を捻る三人。
「バーベキューは出来るとして、キャンプファイヤーか? まるで中学生の野外活動だな」
「あはは、それいいな」
「おいおい、まじか」
 乗り気な紀一を前に、武彦は焦る。まさか炎を前に皆で肩を組んで歌うつもりなのだろうか?
「テニスでもする? コートあるし」
 タオルで手を拭きながら、さつきもやってくる。
「テニスもいいけど、皆で出来るわけじゃないしなぁ」
「それならいっそ観光でもしてくるか? ナビあるし、なんとかなるぞ」
「う〜ん、楽しいとなるとそれだよな……」
 紀一はうんうんと頷き、旅行誌を取り出す。
「それじゃあ明日は観光地めぐりにしようか。行き先は近いところを順に回って、昼飯は多数決だな。オリエンテーリングは最終日に回して、バーベキューは明日の夜」
「ああ、そうしよう。それじゃとりあえず先輩達に話つけてくるか……」
 武彦はゆっくり立ち上がると、徐々に盛り上がりを見せる食堂での飲み会へと足を向けた。

「お〜武彦君も来たの〜」
 上機嫌の良子は武彦を見つけると、紙コップを片手に手招きする。
「まずは一杯」
 やってきた武彦にコップを手渡す良子。武彦は仕方なしにそれを受け取り、軽く飲む。
 刺激の強さからストレートとわかり、慌てて近くの水を注ぐ。
「竹川先輩、せめて水で割りましょうよ」
「何言ってるのよ。男らしくない」
「そういう問題ですか? っていうか、俺明日運転があるんで、あんま飲めないんですよ」
「運転? なんで?」
「ええ、ちょっとこの雨で予定してたオリエンテーリングが出来ないみたいなんで、いっそのこと観光をしないかって相談して、車出すことにしたんですよ」
「ふうん。そうなんだ」
「三谷先輩もそれでいいですよね?」
 一年の男子を前に上機嫌で飲んでいた夏雄に話を振ると、彼も聞いていたらしく、「ああいいよ」と返事する。
「船岡先輩も……」
 あたりを見回すと、やはり彼が居ない。
 ――今度はどこだよ……。
 いらだつ武彦はそれを極力顔に出さないように注意して、他の先輩に話しをしたあと、行方不明の克也を探そうとする。すると、見計らったかのように彼の姿が食堂に見えた。ただ、その様子は不機嫌なようで、険しい顔をしている。
「よかった、探してたんですよ。先輩、明日なんですが、車で観光ってことになりましたが、いいですか?」
「ああ。別にいいよ」
「どうかしたんですか?」
「ああ、雨漏りしていたんだよ、バンガローがさ」
「え?」
 寝耳に水な克也の一言に一瞬食堂が静まる。
「今、富井が女子部屋見てるけど、竹川のベッドも水浸しみたいだぞ」
「ええ! ホント!」
 その一言にすっかり酔いが醒めたのか、良子は立ち上がると、食堂を駆け出す。


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