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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉
【レイプ 官能小説】

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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-15

**――**

 イレギュラーとでもいうべきか、事故なのか?
 問題を前にして武彦は真っ青になっていた。
 というのも、山が外れたどころか、見当違いもはなはだしいからだ。
 先日、確かに受け取った過去問題は全てといわずとも六割は頭に入れてある。そして古いものから順に忘れていく予定だが、もともと入っていないものは引き出すことも忘れることも出来ない。
 しかも、必修科目であり、これを落すと進学こそできるものの、来年の予定がかなり厳しくなり、来年から始まるゼミの志望も優先順位が低くされるおそれがある。
 かといって、いまさらどうすることも出来ず、周りを見ようにも試験管は目を光らせており、唯一許されているのが窓の外だけだった。
 ――あーあ、しょうがねえ。追試に賭けるか……。
 半ば諦めモードの武彦は、論述式の問題に覚えている単語を加工して文章を作ると、退出時間が来るまでの間、窓の外を眺めていた。
 外には過去問らしきプリントを持つ学生が行き交い、その悲喜交々はいまこうして自分も痛感しているわけだ。
 ――ついてないな……。どうも……?
 ふと視線がある学生に向かう。
 タイトなパンツにブラウス姿は学生課の事務員を連想させるが、ショートの髪が肩にかかり、耳を隠しているのは見覚えがある。
 ――さつきだ。やっぱ可愛いな……。
 にへらっと顔をゆがめる彼だが、ふと気付く。
 ――あいつ、今日ってテストあったっけ?
 スケジュールはお互い把握していた。ただ、今は記憶に頼るところがあり、定かではない。
 彼がやきもきしている間も彼女はどんどんと視界を横切り、そのまま見えなくなる。
 ――おいおい、まだかよ。いったいいつまで待たせるんだよ……。
 退出時間は最初の一時間が過ぎるまで不可。もっとも既にドロップアウトを決めている学生もちらほらおり、鉛筆を回したりと暇つぶしをしているのが見える。
 時計は開始から四十分を経過させた。あと二十分。
 早く出たい。とにかく出たい。
 ――そうだ……。
 武彦が手を上げると、教室の後ろに控えていた試験監督がやってくる。
「すみません、気分が悪いんですが……」
「えと、途中退席になるけどいいの?」
「はい、すみません……」
「そう。それじゃあ学籍番号、名前書いてあるね……。はい、それじゃあ出てもいいよ」
 試験監督は答案を二つ折りにすると、教壇に行き、茶封筒にしまう。
 ――よし!
 武彦は曇った表情のまま、教室を出ることに成功した……。

**――**

 試験会場を出るには出られたが、肝心のさつきの居場所がわからない。
 先ほど教室の外から向かった方向に歩いたものの、学生課とグラウンドがある程度。学生でごったかえす学生課を調べることはおおよそ無理であり、グラウンドはというと閑古鳥だ。
 さつきの足取りがつかめずにがっくり肩を落とす武彦だが、先ほどの試験のことを思い出す。
 ――そうだ。追試対策立てないと。
 武彦はそう思い立ち、急ぎ部室棟へと走った……。

 だが、鍵が無い。
 特に役職の無い彼にはスペアキーも持たされておらず、部室に入る方法がない。
 自分の行き当たりばったり具合にため息をつきつつ、武彦は部室の前にしゃがみこむ。
 午後は予定も無いのだし、ここに居れば誰かくるだろう。やはり行き当たりばったりなわけだが、彼は空を見上げると、のんびり動く雲を見つめていた。
 試験が終れば今度は合宿。宿の手配、スケジュール、予算、etc……。
 紀一の話によるとレンタカーを三台借りることになっていた。武彦はその運転手。本当はさつきといちゃつきながらのんびりしたかったのだが、予定では深夜出発。おしゃべりをする暇があるなら寝るべきだろう。
 宿はバンガローを複数借り入れ、他にテントの持ち込みもするらしい。切り詰めた予算は食料や花火など遊興費に使うらしく、紀一が張り切ってスケジュールを組み立てていた。
 その代わりというかツケなのか、選択科目をいくつか落したらしく、追試に備えているとか……。遊ぶ熱意があるのなら試験をがんばれと言いたいが、過去問頼りきりの武彦が口にしたところで説得力も無い。


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