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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉
【レイプ 官能小説】

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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-11

**――**

「ハッ、ハッハッ……」
 誰かが動いているのがわかる。暗がりで、遠くに液晶の光が見える。電球はついていない。下半身に何かが触れているのがわかる。
「うぅん、あぁ……、はぁ……」
 なまめかしい声が聞こえる。それは聞き覚えがある。
 ――良子先輩?
 ふかふかのベッドの上で寝そべる武彦だが、記憶が無い。
 目を瞑ったあと、彼は、確か……。
 ――確か、起こされて、で、寝かされたような……。そしてまた目を閉じて、隣に先輩が……。
「ああん! 気持ちいい!」
 ――まさか、先輩と……。
 うすぼんやりとした視界の中、彼の腰の上で上下する良子の姿に、武彦は再び朦朧としたまま、目を閉じた。
 全てが夢であろうと念じながら……。

**――**

 朝、目が覚めたのは十時を過ぎた頃だった。
 既に良子の姿はなく、きちんと片付けられたテーブルの上にはサンドイッチと二日酔いに効くとされるドリンク剤がある。
 携帯が弱々しくうなっており、見るとメールが一通、良子から届いている。
 そこには『机の上にレポート忘れたから、部室に持ってきて』とあった。
「んぅ〜」
 頭痛はなく、すこしダルさがある。そして、記憶の混乱も……。
 昨日、何かよくないことをしたような気がする。
 だが、覚えていない。
 とりあえず自分の為に用意されたであろうサンドイッチを頬張ると、脇にメモがあるのを見つけた。
 なんのきなしに開いてみると、良子の字で走り書きがあった。

『昨日はごめんなさい。あそこまでするつもりは無かったの。さつきちゃんには内緒にしてね』

 ――!?
 どきりと心臓が脈打ち、そのまま止まるのではないかと感じた。
 良子の残した「あそこまで」という言葉。そして、かすかに記憶している彼女との行為。おぼろげなそれは、次第に鮮明さを増していく。
 ――嘘だろ……。
 武彦はメモをぐしゃぐしゃにすると、手近にあったゴミ箱に放る。けれど、口にはじかれてしまう。
 ――俺、先輩と……、したの?
 紙くずになったそれを拾い上げ、ゴミ箱に入れようとして、彼は愕然とした。
 大きめの水風船のようなそれは、口が固結びをされており、中には白いというには濁ったそれが泡を作りながら収まっていた……。

**――**

 午後一時四十分。三限開始の予鈴がなり、学生達は講義室へと移動する。
 武彦もその流れに従って教室を目指すが、その足取りは重く、どこかしょんぼりしていた。
「おーっす、どうした?」
 能天気に声をかけるのは学友の紀一。背中を遠慮なく叩くが、その弾みで通路脇の観葉植物に踏み入ってしまう。
「おいおい、二日酔いか?」
「いや、それ以上に辛い……」
 昨日のトラブルだろうと高をくくる紀一は彼の肩をばしばし叩く。
「先輩怒ってないって。そんな気にするなよ」
「いや、そうじゃなくて……」
 良子との一夜とさつきの笑顔。交互に彼の脳裏に浮かび、その心を悩ませる。
「あ、さつきちゃんだ。つか、お前の彼女だもんな。うらやましいぞ!」
 遠くに見えるのはバイト画選りのブラウスに黒のパンツという恰好のさつきの姿。紀一は痛い程度の肘うちを武彦にしつつ、静かにフェードアウトする。だが、武彦としては紀一に居てもらえたほうがありがたい気分。
 そんな淡い願いもむなしく、彼女も彼に気付き、
「あ、おはよう」
「うん、おはよう……」
 彼女の顔を見られない。
 後悔。反省。裏切り。
 いくつかの感情が巡り、その導く言葉は……、
「俺、急いでるから、後で電話するね……」
「うん、待ってる」
 逃げの一手。
 武彦はリュックを背負いなおすと、わざとらしく駆け足で校舎を目指す。
 充電の切れたそれは、今朝からうんともすんとも言わないにも関わらず……。


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