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青かった日々
【青春 恋愛小説】

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青かった日々〜切欠〜-3

「自分がレギュラーに絶対になれる、と思うくらい努力をしたか?」


それは確認の意味を込めての質問であったが、どうやら健太には叱責の類(たぐい)に聞こえたらしい。

別に怒ってる訳じゃないから正直に答えてみろと言うと、十秒程の間があった後に、首肯した。

成程、自分では努力しているとは思っているらしい。当たり前の話だが、ここで首を横に振る様では、流石に少しばかり説教をしなくてはならなかった。

自分ではレギュラーになれると思いながら、なれなかったのは単純に考えて三つある。

一つは、努力が認められていない。自分の「努力」と周りの「努力」に差異があることだ。要は「努力をしていない」と同義である。

もう一つは、自分より上手い奴がいるという場合だ。特にクラブチームでもない、何の変哲も無い小学校や中学校では、上手い奴に様々な守備をやらせることがある。

ポジションは、と聞くと、ライトと答えたので、もし健太より上手い外野手が三人いたら、自動的に健太はベンチになるだろう。

最後に、チームメイトもしくは監督とコミュニケーションが取れていない場合があるが、流石にそれは無いだろうと悟史は瞼を閉じる。


「今の実力でレギュラーになれなかったんだ。もっと上手くならないと、レギュラーになれないことは分かるな?」


ブランコから腰を上げて健太に問うと、またもや健太は涙を流し始めていた。


(案外、泣き虫なんだな)


今までは明るく、やんちゃな少年としか思わなかったが、もういっぱしのプライドはあるらしい。


「泣いてたってレギュラーにゃあなれねえぞ」


そう言ってから、健太に振り向き、ニヤリと笑った。


「俺が稽古をつけてやる」





ある日の放課後、工藤 直人(くどう なおと)は、悟史の部屋へと足を向けていた。

久しぶりに部活が休みになったため、悟史の部屋で暇を潰そうと考えたのである。

しかし部屋には鍵がかかっており、ちゃんと携帯で連絡をとるべきだったと思案していた。


「お、直人の連れじゃねえか」


声をかけられた方へ振り向くと、このアパートの大家代理である明が顔を出していた。


「すンません、悟史どこに行ったか知らないっスか?」


体育会系の敬語を久しぶりに聞いた明は頬を少し緩め、悟史の行き先を告げてやった。



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