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愛を知らない役者
【ファンタジー 恋愛小説】

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愛を知らない役者 (後編)-8

「あの頃のこと…
ガルハーンの血を飲むたびに思い出していくわ…。
奴隷として生きていた日々、主人であったガルハーンと密かに結ばれた日…。

それから、ガルハーンが今までどんな生を受けてきたのかも。
この子は、いつも独りで…最期は必ず、次の生に希望を抱きながら死んでいくの。

でも、やっと見つけられたわ、ガルハーンを。
だからね、今は本当に幸せよ、エターナル・ラヴァーに巡りあえて」

「オレもだよ、オリヴィア。

オレだって、元の生で主人だった頃、あの頃の地位を捨て去ってあなたと逃げたかった時の気持ちを、今では思い出した。
それから、ヴァンパイアになったオリヴィアが、一千年の人生を独りで歩いてきたその長さを、今、知ろうとしている。

互いの血を飲んで満たされることで、二人で天国へ行けるんだったよね?
でもオリヴィア…
あなたは、やっと死ねると思っているかもしれないけれど、オレは…二人で不死身になれたらいいのに、って思ってる」

「…ガルハーン…」

「……そうか、"永久の伴侶"と出会うというのは、そういうことなのか…」

俺は、幸せそうな二人を見て、ひどく疲れたような、でもまた早く旅に出たいような、複雑な気持ちが湧いてくるのを感じていた。

「…そう言えば、ガルハーンはなぜ、まだあの石の館にいるんだ?」

「ん〜?
それはね〜…楽しいからっ!」

「…楽しい?」

「ガルハーン、からかっちゃダメよ。
あなたは、館の主人に、恩があるからって残っているんでしょう?
わたしに身請けさせることもせず、ヴァンパイアの術もかけさせずに。
わたしは毎晩、心配で眠れないと言うのに」

「ごめんね、オリヴィア。
だって、いつかはオレの力であなたを養っていきたいじゃない?
オレだって男だもの」

「あらっ、そう言えばダニエル!」

ガルハーンの愛の告白をつらっと無視して、オリヴィアは言った。

「あなた、血に飢えてるって言っていなかった?
大丈夫?
こちらで手配しましょうか?」

「ありがとうございます、でも、自分で探してみます。
この時間でも、"まだ若くて素直で純粋な少女"がいる場所は、この街にあるでしょうか?」

「…えっ!?




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