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愛を知らない役者
【ファンタジー 恋愛小説】

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愛を知らない役者 (後編)-11

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…―アンジェリカを探しに、北の大陸へ戻った。
しかし、いくつもある似たような村に、彼女を見付け出すことができない。
彼女を思い出す度に、飢餓感が強くなる…。

また一年以上の時が過ぎて―…。
どうもこの村らしい、という場所が、見付かった。
しかし話を聞くと、恐ろしい不幸があり、アンジェリカと思われる少女は行方不明…。

そこまで分かってから、"天涯孤独となった少女はそれからどうするのか"、考えてみる。
どこかの屋敷でメイドとして雇われたか…
大きな商店へ奉公に出たか…
もしや、堕ちるところまで堕ちていたら…?


…どこにいるんだ、アンジェリカ。
俺の"永久の伴侶"。
どこに行ってしまったんだ、たった独りで…。
君が、俺の恋人だったってこと…分かってあげられなくてごめん。

…でも俺は、恐かったんだ…。
永い時を経て、"永久の伴侶"は、いまだ俺を待っていてくれるのだろうか、
こんなにも永い間待たせて、怒っていないか?
いや、そもそも、俺に気付いて、受け止めてくれるんだろうか、
そして…ちゃんと俺を、ヴァンパイアである俺を、愛してくれるのか、
…って。


…そうだ、彼女もヴァンパイアになってしまっているに違いない。
あのガルハーンのように。
彼女は、飢えてはいないだろうか。
いきなりヴァンパイアになってしまって、不安になっただろうか。
そばにいてやれなくて…すまない。
そして俺は、あの美しい首すじに、消せない咬み痕を残してしまったのか…。

しかし…そんなアザを持って、苦労してはいないだろうか…?
まさか、本当に彼女は堕ちて…蝶々に…娼婦になっている…?
アンジェリカ、本当にすまない…。
次に出会えた時は、もう離しはしない…!


…―そしてまた一年近くが過ぎ…。
結局また、数年前と同じように、売春宿を巡りながら大陸を南下している。

しかし、北の大陸に戻ってからの旅は、昔とは違うものだった。
昔は、当てどもなくただひたすら、歩きまわるばかり。
それはむなしいものだったが、今は。
必ず存在すると分かっている少女を探すのは、焦る気持ちがありながらも、心が踊るようだった。
朝が待ち遠しくなり、毎日が充実している。
ちゃんと、心の中で呼びかける名前がある、というのは、本当に素晴らしいことだった。


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