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狼さんも気をつけて?
【幼馴染 官能小説】

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狼さんも気をつけて?-8

「……きゅう……あ、明……大丈夫?」
 束の間の春を謳歌する明だったが、夢の声でぼやけた現実に戻される。
「ああ、もう大丈……夫……ん? あ、あれ?」
 崩落が収まったのを見計らい、明も起きようとするが、何かに背中を押さえつけられる。
 不審に思った彼が冷静に状況を確認すると、何故かネットが全身に絡まっており、しかも一緒に降ってきたバトンが留め針のように刺さっていた。
 膝を着き、中途半端な腕立て伏せの姿勢を余儀なくされる明。眼下には、夢が小さく身を強張らせている。
「な、なんだこれ、どうなってんだ?」
 明は束縛を抜けようと必死にもがくが、ネットは意思を持っているかのように絡みつく。
 そんなおり、右手が柔らかいモノに当たる。ゴムマリのように弾力を持つが新体操のボールだろうか? とにかく今は邪魔なので除けようと掴む。
「ん、あ、やぁ明……、いたいってばぁ……、もうちょっと優しく……ね?」
 ボールだと思っていたのは夢のオシリ。慌てて手を離すが、その視線は鋭く明を睨む。
「わぁ……! その誤解だ、間違えた、だから、その、ゴメン……」
「ホントかしら? 明ってムッツリさんだし、分からないもん!」
 冷静に『事故』として処理するべきだが、明自身、単なる『事故』として処理できない部分があるらしく、それは徐々に熱を持ち始め、無防備な太腿をちょんちょんと突く。
「ん? なにかし……ら? ブニブニしてキモイ? 硬くなるけど……なにこれ?」
 太腿の違和感を探る夢は原因を握り締め、その感触を確かめる。
「あ、だめ、その、それ俺の……」
 意趣返しのわざとなのか、それとも本当に気付いていないのかは不明だが、自分以外、特に好きな異性に握られるとなると、必要以上に敏感になる。
「え、わ、やだぁ! 明のえっち!」
 夢はぱっと手を離すと、マットでゴシゴシと拭う。
「自分で触ったくせに、エッチはないだろ……」
 確かに綺麗なものでもないが、その光景にほろ苦い気持ちになる明。
「うん。そだね……さっきはゴメンね、疑って……」
「いや、うん、仕方ないよ……」
 誤解は解けたものの、先程より気まずい。なんとか会話の糸口を掴みたいが、今の状況で何を話せというのか? 共通の話題といえば部活のことぐらいだが……。
「俺、次の大会で記録伸ばせるかな……、はは、今いう事じゃないか……」
「がんばってよ。夢、応援してるもん……」
「ああ、ありがと……」
「うん……」
 どうしてもぎこちなくなってしまい、少しの間をもたせることすら出来ない。それこそほんの数秒の静寂すら、数分に思えるほどに時間の密度が濃い。
 変な汗が額を伝う。普段はこれと比べられない程のトレーニングをこなしているというのに、今は重力と別の力が発生しているのか体が重く、じりじりと下に引き寄せられる。
「明すごい汗。楽にしたら? その方がネットの締め付けも緩くなるかもしれないし」
「そう? そうだな。それじゃお言葉に甘えて……」
 明は中途半端な腕立て伏せの姿勢を崩し、ゆっくりと夢に身体を重ねる。
 いきり立つ部分が太腿で擦られると、夢もそれに反応し、短く「んっ」と呻き、反射的に股を閉じる。すると、自己主張の旺盛な部分が、布越しでも判るほど膨張してしまう。
 太腿の付け根にぴったりと挟まれると、股間を覆う布がジンワリと濡れる。それは内側からだろうか、それとも外側からだろうか……。
「ね、最近練習きつくない? 大会はまだ先だけど、先輩達はりきってるよね?」
 思い出したように饒舌になる夢。
「ああ、確かにね……。それよりさ、夢……俺さ……」
 しかし、明の瞳には、帰り道で見せた瞳と同じ火が燈っている。
「そ、それでさ、帰りとか遅くなっちゃうし、怖いなーっておもったりしてさ……」
「いいだろ……夢なんだし」
 威嚇するような低い声で告げると、明は肘と膝の力を抜き、ゆっくりと顔を近づける。


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