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JoiN
【コメディ 恋愛小説】

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JoiN〜EP.FINAL〜-1

最後に女をふってから365日と少々、砂を噛む日々が続いた。
今の事務所に入社した後も1日も欠かさず獲物を狩ろうとし続けたが、誰にも見向きもされず・・・

女達のあまりの鉄壁さにこの俺が一度は挫けかけたんだ。
ハイエナの牙を受け付けない相手がいたなんて。しかも、あんなに沢山・・・
芸能事務所だから、そこの社員はタレントやアイドルなんて見慣れてる。

自分と同じ社員になんかわざわざ興味を持つ事は無いだろう。
考えたら当たり前の事、と言われたが、あくまでそれは普通の人間の考えだ。

何故なら俺は誰かに言われるまでまったく気が付かなかった、つまりその考え自体が頭に無かったんだ。
実際は自分で考えたのかもしれないがもはや過去の事だ、拘っていたらきりがない。
だって、悪い記憶はいつまでも保存しておけないんだもん、俺の脳ミソは。

だがな、その悔しい日々ももう終わったんだよ。


まあ当然の結果だがな!はっはっはっはっはっはっはっはっ!!


『時間大丈夫?』
「お前の為なら全てを切り捨てて時間を作るさ」


遂に、想いを寄せていた栞菜と付き合う事になった。
こうして仕事の合間にこっそり電話してるのが、まるで夢みたいだぜ。

最初に見た時、頭に稲妻が落ちたみたいな衝撃を受けたのは今でも覚えている。
今まで星の数ほど女を見てきたが、あれ位の衝撃は本当に感じた事が無かった。

『・・・立花さん、いないよね?』
「安心しろ。ここはトイレだ、入ってきたら変質者呼ばわりして追い返せる」
『ごめん・・・私が言わなければ怒られなかったよね』
「気にすんなって。あの人は他人の思考を読めるんだよ、漫画や映画でありきたりのあれさ」

実は告白された直後、立花さんに問い詰められて既にばれていた。
それも、拷問(スパンキング)されて自白を強制させられてる俺を見かね、栞菜からばらしてしまったんだ。

栞菜は悪くない、寧ろ俺を庇おうとしたから優しい。
その優しさに思わず熱くなったのは、立花さんには内緒だぜ?
あと、何処が熱くなったのかもな。

あの人は、告白したせいで顔の赤い栞菜を見て感付いたんだろう。
・・・或いは、普段から栞菜を口説いてた俺が原因かもしれんが・・・

せめて事務所に帰ってから拷問して下さいと言ったが、シカトされたのが哀しかった。

だってドラマの初現場で皆に羞恥プレイを見られるの嫌だもん。
俺は見られて喜ぶタイプだけど、そういう行為の場合はむっつりしてると思う。


『監督さんに笑顔がいいねって言われたの!そんな事言われたの初めて』
「フッ、俺は少なくとも初めて会った時から気付いてたがな。だから俺を誉めなさい」
『うん、日比野さんは凄いね。これで満足?』
「聞こえなかった、もう一回言って。早く言いなさい」

マネージャーとアイドルが一緒にいる時間は長い。
移動時間もそれなりだし、現場についていくならそれこそ1日中一緒に居ると言っても過言では無いのだ。

しかし自由に話せる時間というのは無いに等しい。
出来ればちゃんと面と向かって話したいけど・・・


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