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最後の夜
【女性向け 官能小説】

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最後の夜・後編-1

「姫様、最近元気なくない?」

「確かに!食事もほとんど残してるってコックが言っていたわ!」

「1日中寝てるってアンが言ってた」

「もう明日には結婚式なのに大丈夫かしら…?」

「もしかしてマリッジブルーじゃない?」

「ああ!そうかも!それなら心配ないわね!!」

「式が済めば元気になるわよ!」

メイド達が話をしながら中庭を横切っていった。

ロイはたまらなくガーネットが心配だったが、聞こえないフリをして庭の手入れを続けた。
雑草を抜いて、肥料を与えて水を撒く。

ガーネットの部屋の下にさしかかると、それとなく窓を見上げたが、あれから1度も見えなくなった。

あの3ヶ月が幻だったように思えてくる。
辛くないと言えば嘘になるが、これで良かったんだと自分に言い聞かせた。


「ロイ」

背後から名前を呼ばれ振り返ると、アンが神妙な面持ちで立っていた。

「ちょっといい?」

「…あぁ」


人気のない用具入れに連れて行かれ、アンが誰もいないことを入念に確認して扉を閉めた。

「おいアン、いったい何なんだ?人妻の身で俺をどうにかしようっていうのか?」

同い年という事もあり、挨拶代わりにジョークを言うと、ものすごい形相で睨まれた。

「ロイ、私は姫様専属のメイドだけど、あくまでこの王室に雇われているんだから報告する義務があった。でも、姫様が少しでも気持ちに整理をつけられればって思ったから何もしなかった」

「…?急に何の話をしているんだ?」

「あなた達のこと知っているの!!」

「え…っ!?」

俺とガーネットのこと気づいてた?

「どうやって会っているのかは知らないけど、会っていたんでしょ?キスマークなんてつけて…気づいたのがあたしだから良かったけど、他の人だったらどうなっていたことか…!!」

「……そうか、気づいていたのか…黙っていてくれてありがとう」

アンがまたキッと睨んだ。

「ありがとうじゃあないわよ!!ちょっと前は二人して熱っぽい視線送りあってたのに、1週間前からまるで赤の他人みたいに無視しちゃって」

「……」

その通りだ。
でもこれが本来の距離感。絡むことのない運命の赤い糸…


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