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バレンタインデー
【コメディ その他小説】

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homework〜夏休み〜-1

『homework〜夏休み〜』

「終んねぇ〜!」

 花鳥院風月(かちょういんかざつき)は僕の部屋で机に向かって叫んだ。

 それもそのはず。この男、夏休みの宿題を貯めに貯め、いよいよ明日が提出日だというのに一切手をつけていないというある意味での暴挙に出たのだ。

 僕はどちらかというとコツコツやる派だから、宿題はとっくに終わって、丸い椅子に座り風月の様子を眺めている。

「うっさい!」

 その言葉が響いたのか風月はガクッとうなだれ、額を机にぶつけた。

「千葉〜。おらぁ、もうダメだぁ」

 どこぞの方言のようにイントネーションが明らかにおかしい。

「大丈夫だよ。気合いだよ」

「だったら、手伝ってくれよ! 答えを写させてよ!」

 そう言うと顔をバッと上げ、僕を見つめる。その瞳は『オレたち親友だよな? オレのこと見捨てないよな?』と僕に語り掛ける。僕はその思いを一思いに断ち切る。

「無理」

 風月はマンガに出てきそうなガーンという効果音のようにまたうなだれた。

「やっぱオレ、ダメだ。宿題のやり過ぎて死ぬ。葬式で、『ヤツは頑張ってた』と言ってくれ!」

「メンドイからヤダ」

 僕はその言葉を吐き捨て部屋を出る。部屋から『オレを見捨てないでくれ〜』と聞こえたけど、空耳だということにしておこう。



 台所で二つのコップにいくつかの氷と炭酸のサイダーを入れる。たまにはねぎらってやろうという老婆心が出てしまったのだ。

 両手にそれぞれコップを持ち部屋に戻ろうとした時に、妹の彼方(かなた)に会った。ショートカットの黒髪にもう疲れましたと言わんばかりのしわしわのジャージを着ている。

「兄貴、それなに?」

「ああ、これ? サイダー。風月にやろうと思って」

 彼方は左手に持っているコップを奪う。

「あいつにやる位なら、おれが飲む。あいつに飲まれるサイダーがもったいないよ」

 それが聞こえた途端、僕の部屋から『助けて〜!』と聞こえた。うん、頑張れ風月。僕はそっと応援してるよ。

End

『雑誌BBS・1192つくろう!小説で!・供養作品』


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