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夏の怖い話
【ホラー その他小説】

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夏の怖い話-6

その日の夜、僕は後輩の住む部屋に泊まる事にしました。
もちろんこの話をする為です。
後輩はかなり鈍感な性格ですので、おそらく霊的なモノなどこれまでに一切感じたことはないでしょう。僕も全くありません。ですので、お祓いをするなんて行為が無駄でしょうがなく感じていました。
しかし、それは軽率でした。
この日の夜に、鈍感な男二人が恐怖で震え上がるような出来事が起こったのです。


午後11時、仕事が終わりバイト生もみんな帰ってから店の戸締りを確実にして僕と後輩は2Fへと上がりました。
交代でシャワーを浴び、ビールで乾杯してからゆっくりと僕は話し始めました。
今日バイト生たちから聞いたこと、そして僕がバイト生たちに言ったこと、少し馬鹿馬鹿しい気分になりながらもそれを伝え、また、こういう時にどう対処すべきかを後輩に教えました。

「はあ、幽霊ですか? そういうのって、所詮は心の病と同じようなもんだと思うんですけどね〜」

「まあな、俺もそうだと思うんだけどさ。まあ、かと言ってこのまま放っておいたら大変なことになりかねんぞ。人の噂ってのは怖いもんだからさ」

予想通りの反応を示す後輩に淡々と説明してから、その後はすぐに他愛ない話で盛り上がった。
ビールを数本と焼酎のロックを2〜3杯飲んだところで睡魔に襲われ、後輩は2段ベッドの下に、僕はその上のベッドに身体を休めた。

電気を消し、ほんの数秒で下から凄まじいイビキが聞こえてきた。

「たまらんな、こいつのイビキは……」

呟きながら、僕もすぐに寝入った。


ガタガタ、ガタッ、ガタンッ-――!!


1Fのほうから突然聞こえてきた物音。
僕はすぐに眼を覚まし、軽く身体を起こしてから耳を澄ませた。
顔はすごく強張っていたと思う。


ガタンッ、ガタッ-――


再び聞こえてきた物音。
咄嗟に強盗だと思った。
すぐに警察へ電話できるよう慌てて携帯を手に取り、何か武器になる物はないかと薄暗い室内をキョロキョロと見回した。

心臓が激しく高鳴った。

二度目の物音以降、暫くシーンとした静寂がつづいた。

僕は動くことが出来ず、眼をグワッと見開いたまま声も出せずに襖を睨んだ。
この襖の先には小さな台所があり、そのスペースに2F休憩所へと繋がっているドアがある。

カチ、カチ、と時計の秒針音だけが部屋の音を支配している中、その物音は突然に鳴り響いてきた。


カンカンカンカンカンッ-――!!


1Fから伸びている鉄の階段を誰かが物凄いスピードで上がってくる!
階段を上りきった足音が、止まることなくこっちに向かってさらに走ってきた!


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