調教物語（その２）-4
「貴女の名前は恭子さんと言ったね」
「はい、そうです」
「わたしは、自称Ｓな男だから、貴女の名前呼びつけにしてもいいかな？」
「あ、はい・・私は構いませんが」
「ありがとう、恭子」
「はい・・」
ここで恭子は研二郎に心を許していた。
彼女は、研二郎のぶっきらぼうな言葉のなかに、
何故か落ち着いた優しさを感じていたからである。
文字の言葉や、間の取り方等から、その大人らしい生の男性を感じるのである。
それは恭子がいままで出会った男性と何故か違っていた。
無意識の中で、閃きの中で（いつか私はこの人と逢うのかもしれない・・）
そんな予感さえ感じるのだ。
「それで恭子は感じたのだね」
「はい、意地悪な言葉を言われながらも、何故か感じていました、
彼のそういう言葉に身体が疼くこともあって・・」
「そのとき何と言われたか言ってごらん」
「恥ずかしいです、言うのですか？」
「そうだよ、言ってごらん」
「あぁ、はい・・お前はいやらしい女だとか言われました、
自分ではいやらしい態度をとったことが無いのですが・・
我慢できない状態にさせられて・・感じたのです」
「それで、その人とは性的な関係を持ったのかな、恭子？」
「ええ・・」
「それでどうされた？」
「はい・・ホテルに連れて行かれて、そこでガウンの紐で軽くですが縛られて、
無理矢理に犯されてしまいました、それから逢う度にホテルで・・」
「同じようにされたのだね、逢う度に」
「はい、でもその内に、彼は転勤とかで逢えなくなってしまいました」
「なるほど、その時恭子は自分がＭだとは思わなかったのかな？」
「まだそういうことがよく分からなくて、
それで最近ネットでそう言うお話が聞けると知って、
こちらのお部屋をお邪魔したのです」
研二郎は彼女の言葉を聞いていて、彼女に興味を持った。
ここでじっくり彼女にＳＭのことをしっかり教えたいと思った、
しかし、研二郎のその確信は間違っていなかった。
研二郎は今画面の前で、自分の指示を待っている未だ見ぬ恭子という女を
想像しながら、その柔肌に自ら縄を食い込ませるのもそう遠くない気がした。