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湿気
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湿気-2

『今、外?』
『うん。よく分かったね』
『雨の音がする』
『毎日よく降るよ。そっちは?』
『こっちも』
『そ』
『あぁ』

どうだっていい会話。
そんな事話してる暇があるならもっと言わなきゃいけない事があるのに、分かってるのに何も言えない。
だって言っても言わなくても、もう友達には戻れないから。

『そーゆう事だから』
『あ、うん』
『今から返事してくる』
『あ…、行ってらっしゃい…』
『じゃあね』

電話が切れた時、俺の中の何かも切れた。
ネジかな。
電池かな。
パタンと倒れたまま、虚しく時間だけが流れて今に至る。


メールも電話もやり取りはあったんだ。
最近、少し減ったなぁとは思ってたけど…
あいつは彼氏がいるなんて一言も言わなかった。だから距離があっても安心していた。俺にもまだチャンスがあるんだと…

彼氏がいるショック。
彼氏がいる事を打ち明けてもらえなかったショック。
それが異性としても友達としても必要とされてないみたいで、いや、みたいって言うよりされてない、そのものなんだけど。



やっぱり死んじゃおうか。


腹癒せに目の前のマンションから飛び降りてやろうかな。

…ダメだ、俺高所恐怖症だ。

首吊る?

…なんか死ぬまでが苦しそうだな。

入水?

…それも死ぬまでが苦しそうだ。

練炭自殺…。ニュースでしか聞いた事ないけど一番楽なイメージ。
寝てる間に死ねたらいいな。
そうと決まれば―――


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