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愛を知らない役者
【ファンタジー 恋愛小説】

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愛を知らない役者 (中編)-5

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ほの暗い部屋の中。
ベッドに腰かけている、一人の女性のシルエットが浮かびあがる。
部屋に、大きな家具はそのベッドのみだが、そこにはまだ、小さな窓からの朝の光は、差してきていない。
彼女は立ち上がると、湯の入った桶と布を準備した。
扉の開け閉めの際に、廊下から他の蝶々達の笑いさざめく声が入ってくる。

そう、ここは売春宿。
彼女は、前の晩の客を送り出した直後のようだ。
布を湯に浸けると、おもむろに"ドレス"を脱いだ。
ここでの彼女の正装は、上半身を締め付ける黒い下着と、同じく黒いガーターベルト。
ぱちん、ぷち、と金具を外し、ゆっくりと体を清めはじめた。
布を湯に浸け、絞り、ぬぐう。
スレンダーな肢体を、昏い部屋に晒している。

そのままの状態で、髪に手をやり、1つにまとめていたピンを抜き去った。
ふわり、と肩に髪が広がった―…。
――その瞬間、さぁっ、と、日の光が部屋の奥にまで差し込んできた。
彼女の髪が、金茶色に浮かびあがる。
彼女は、アンジェリカだった…。


体つきは、かなり成熟してきている。
髪には、赤い絹のリボンが編み込んであった。
いつも黒い服を着る彼女の人気を憂いて、女将が与えたものだ。
アンジェリカは、娼婦になっていた。


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