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愛を知らない役者
【ファンタジー 恋愛小説】

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愛を知らない役者 (中編)-2

卿の位を得た俺は、旅がしやすくなり、また南へ南へ歩いた。
はじめは同じ貴族ばかりを狙っていたが、"永久の伴侶"を探す為、すぐに相手の階級は気にしないで"物色"するようになった。


"永久(トワ)の伴侶"の条件。
それは、4色の瞳の術がかからないこと、"消し"の紋が効かず痕が残ること、そして、血をいただいた時に、"愛を飲んだ"と思えること。
それを目印にして、"永久の伴侶"を探す。

不死身と言われるヴァンパイアだけど、"永久の伴侶"もまた、俺に出会うまで、そのひとの魂は、安らぎは得られない。
何度、生をまっとうしても、天国の扉は開かれず、そのひとは転生を続けることになるんだ―…。

そして、二人が出会えたなら。
普通の人間相手だと、血を吸われても、相手に大きな変化は起きはしない。
しかし、"永久の伴侶"は、血を吸われた時から、そのひともまた、ヴァンパイアになるんだ。
ただし、そのひとが渇望するのは、俺の血だけ。
つまり、そのひとはもう、俺のもの。

そして、俺もまた、そのひとのもの、になるのである。
つまり、俺が渇望するのも、そのひとの血だけ、になる。
互いが互いの血で満たされた時、2人のヴァンパイアは、不死身から解放される。
"永久の伴侶"は、天国で永遠に、俺の隣にいてくれる―…。

これが、ヴァンパイア伝説の真実だ。
アンジェリカがあの日出会った村人は、彼女の母親の言う「石にされる」に比べれば、だいぶ正しい知識を持っていた、と言えよう。


アンジェリカの住む村からは、南へ行くにつれて、海が近くなり、貿易が盛んな地域になる。
村は町となり、街となる。
そうなると、アンジェリカのような"旨い"娘は減ってくるが、替わりに飢えを満たしやすい日々には、なる。
貿易で興った街には、必ずあるもの、それは、売春宿。
むさぼり飲んだ後の"消し"の紋には、一段階複雑にするだけで、傷痕だけではなく、記憶も消せる力がある為、ただ飢えを満たすだけの行為には、売春宿はうってつけなのだ。


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