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愛を知らない役者
【ファンタジー 恋愛小説】

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愛を知らない役者 (中編)-1

「はい、本番です。
3、2、1…キュー」


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アンジェリカと別れた後、"永久(トワ)の伴侶"を探しに、また旅を再開したヴァンパイアの俺、ダニエル。
南へと向かう。

そう、今回の俺の旅は、凍てついた冬の国から始まったのだ。

今から数百年前―。
男達が血みどろの戦いをはじめたので、旅をしづらくなった俺は、邪魔されなそうな冬の国で、しばし眠ることとした。
しかし、最後の方は"永久の伴侶"の幻ばかり見るようになり―…。
なんだか急かされているような気持ちになったので、目を覚まし、旅を再開することにした。
まずは、その地域特有の、金髪碧眼の女達でその場の飢えをしのぎ、南下を始めた。

久かたぶりに歩いた島の1つでは、なにやら大きな城ができており、女王が君臨する貴族社会が生まれていた。
貴族達の中から、何人かたぶらかした後、彼らの優雅さが気に入り、俺も位をもらうことにした。
その時は、ちょうど高い地位の1つに美麗な男を見付け、お互い気に入ったものだから、食わせてやり、俺は"飲ませて"もらった。

「あぁっ、ダニエル…
君はなんて美しいんだ…。
それなのに、こんなに野性的な体をして…!
さぁ、お仕置きだよ、ボクの隣にふさわしい姿に、改造してア・ゲ・ル…」

「嫌です、俺はお仕置きなんて…。

―んあぁっ…!
ひっ、ご、ごめんなさい…
頑張るから、君の血を…血を!」

…え?そいつとの最後?
そう…、そいつを飲み続けているうちに、ヤツは乱れた味が濃すぎるようになり、比例して、態度も気味が悪くなってきたので、殺しちゃった。
折よく女王陛下主催のパーティが開かれたので、俺は瞳を4色に瞬かせ、皆に一斉に術をかけた。
で、そのままヤツの位をいただいちゃったってわけ。

ねぇ、知ってる?
新しい存在を認めさせたい時は、イチから居場所を作るより、すり代わった方が簡単だ、ってこと。


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