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生徒会へようこそ
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生徒会へようこそ【MISSION'1'自己紹介を円滑に遂行せよ!】-8

屋上。各クラス。玄関。
女子トイレは…流石に入れなかったけど、どこにも宝さんの姿はなくて、僕は気付いた。
あの宝さんのことだ。
生徒会室に直談判に行ったかもしれない。
すぐに走り出す。
ほとんど誰もいなくなった廊下を全速力で走る。
まだ1ヶ月しかいないこの学校の造りなんて分からなかった。
だから駆け足なんて甘いもんじゃだめだ。
一階から虱潰しに捜さなきゃ。
いない。
いない。
いない。
いない。
そして東校舎の4階で、一室に入っていこうとする宝さんをやっと見つけた。

「はっ…はぁ…宝さん!!」

「…優」

その部屋の入り口には生徒会室という札が掛かっている。
当たった…!

「宝さん?どうしました?」

室内から聞き覚えのある声がする。
ああ、これこれ。
入学式で聞いた声。

「あ、いえ会長、お気になさらず。少し話をしたら直ぐに行きます」

乱れた息を直しながら僕は二人のやり取りを見ていた。

「どうした?」

口元に少し笑みを浮かべてる。
どうやら僕には怒ってないらしい。

「あの…さ、はぁ…えっと」

言いたいことが頭の中でごっちゃになって、何から話して良いか分からない。
あのえっとを連発する僕を宝さんは笑った。

「寿絵瑠を庇った優はどこに行った?」

「あ…あれは…無意識で…」

「ふふ、優にはお礼を言わないとな」

お礼?

「優のお陰で本当の生徒会に入ることが出来そうだ」

てことは宝さんはまだ生徒会に入っていないのか。
間に合ったー…!

「そのことなんだけど…」

「ん?」

「僕と一緒に生徒委員会に戻ろう!みんな待ってるよ?」

そう言った途端、宝さんの顔が曇った。

「それは出来ない」

「宝さんが生徒会に入りたい気持ちはすごく分かるよ。でも、どうしてそんなに生徒会に入りたいの?」

宝さんは唇をキュッと噛みしめたが、ふっと短く息を吐いた。

「優には言うがな、寿絵瑠の父はJEWELЯY TAKAЯAの社長なんだ」

……。…うん?
ていうか、内緒にしてたの?
全校生徒知ってるんだけど。
まぁ、ここはスルーしよう。


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