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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風〈決意篇〉-4

こんなにも修業部屋は遠いところにあったのだろうか。

 界の扉の番人であるテスタの住み処は、界の扉が並ぶ空間とは別に存在していた。家ともいえる場所にもいくつかの部屋に繋がる扉があり、さっきまで日向が修業部屋として使っていた場所もその中の1つだった。

 今から向かう部屋はテスタが食事する為に作った部屋で、日向は寝室と修業部屋とその部屋を行き来していた。

その3つの部屋以外はほとんど見たことがない。

一度だけテスタの書斎部屋に訪れたことがあったが、天に届きそうな程高い本棚に入り切らない本が山積みになっている状態を見て目を眩まして以来近寄ってなかった。

 思うように動かない、疲れ果てた身体を引きずるように歩いていた日向のもとに人影が近づいていた。

「日向?」

聞き覚えのある声にすぐ反応を示した。声の主を確認すると、疲れを忘れた笑顔が日向からこぼれる。

「貴未!」

少しでも距離を縮めようと駆け出す一歩目で日向の膝は力が入らず崩れた。こけてしまった日向を心配する祷の声が高く響く。

「どうした?お前、ぼろぼろじゃん。」

手を差し伸べて身体を支えながら立たせてやる。その動きはあまりに自然だったので日向は呆気にとられていた。

「マスターは先程まで修業をされていたのです。もうほとんど体力がありません。」

貴未と日向の目の前に祷は姿を現した。

「おっ!?祷、久しぶりだな。」

懐かしい顔に自然と言葉が出てしまった。

「ご無沙汰しております。」

貴未の言葉を受けて祷は深々と頭を下げた。貴未は微笑み、掌ほどしかない姿の祷の頭を優しく撫でた。

「日向も頑張ってんだな。」

そう呟くと貴未は皆の集まる場所へと歩き出した。不思議と歩くことが疲れなくなった事に日向は気付く。

祷と出会い、リュナを見つけてからは不思議な事が続いている気がする。

胸の内にある様々な疑問符は積み重なっていくだけで少しも消化されずにいた。それも全て記憶を取り戻したら解決するのだろうと思うと、言葉に出来なくなる。

「そういえば、貴未はどうしてここに?」

「カルサ達と来たんだよ。日向を迎えに行ったと思ったんだけどな、会ってない?」

下から見上げる貴未の横顔は大人びていて、日向には足りないものを貴未は持っているのだと思い知らされる。


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