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愛を知らない役者
【ファンタジー 恋愛小説】

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愛を知らない役者 (前編)-5

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「はい、カーーット!」

ここまでが、映画の前半と言えるだろう。
この後は、ダニエルの放浪シーンがいくつか入りながら、アンジェリカが堕ちてゆく物語が始まる。


"愛を飲む"ということを渇望し、"永久の伴侶"を探し続けながら、不死の身でさすらうヴァンパイア。
その姿は、まさしく"俺"だ。
生まれてこの方24年。
人を愛したことがない。
もちろん、ごく普通の両親の許で育ったので、家族愛というものは理解できる。
かけがえの無いペットがいたこともあるし、男女かまわず親友もいる。
ただ、恋愛というものが、どんな気持ちになるものなのか、どうしてもピンと来ないのだ。
しかし、セックスは大好き。
バイセクシュアルなのかもしれないと思う時もある。
むしろ、人類愛?…いや、地球愛?

…この広い大地から、どうやって"ピンと来る"相手を見付けろと言うのか。
もしかしたら、その相手は、宇宙人かもしれないのに。
だってそうだろ、魂で結ばれている相手が、同じ惑星(ほし)にいるとは限らないじゃないか。
そう考えると、もう一生、そのひとには会えないんじゃないかと思えてくる。
そのひとと、愛し愛されたい、と渇望する人生は、まさに不死身のヴァンパイアほどに、永く感じられるのだ―…。



しかし、本当にこの監督はヘンタイだ。
なにしろこの日の"ダニエル"の相手は、なんと14歳の少年だそうだ。
いくら自分が人類愛で溢れているとは言え、10歳も下というのは…さすがに対象外だ。
それにしても、昔のヴァンパイア伝説に、男妾なんて本当に出てくるんだろうか?


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ヴァンパイアの俺、ダニエルは、雲に従い陸地を歩き、遠くの"向こう岸"を探して海を渡っていた。
その宿にふらりと立ち寄ったのは、少し"味"を変えようと思ったからかもしれない。
南に向かうにつれて奔放になる女性達に胸焼けがして、船に乗り、新しい大地に見付けた、ひんやりとした石の館。
そこには、こりっとした少年ばかり、ということに、気付いた時にはもう、俺には浅黒い肌をした"ガルハーン"が宛がわれていた。


――――――続く


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