DOLLHOUSEU 2-1
私はベッドの上に座って、ご主人さまに買ってもらったCDをヘッドホンできいていた。
ご用聞きのおじさんが来ているからだ。
ユリさんの声が聞こえないように。
おじさんはここに来てはユリさんを泣かせて帰る。
私は怖くて何もできない。
だから、耳をふさぐ。
ただ、ぼんやりと窓の外を見ていた。
ガタガタ!っと大きな音がしてヘッドホンを外すと、ノックもなく扉が開いた。
「へえ。美人じゃんか。華奢なのがそそるねえ」
ご用聞きのおじさんがそこに立っていた。
ちゃんと会ったことはない。2階の窓からこっそり(向こうから見えないように)見たことがあるだけ。
ユリさんがすぐに入ってきて、その男に後ろから抱きついた。
「ユリさんっ!」
「早く逃げてっ!」
男がなにをしにきたか、すぐに分かった。
ユリさんは乱れた服装のままだ。
「ユリさんっ!」
でも、男はドアの前に立っている。
「邪魔だって言ってるだろ」
「うぐっ!」
男はユリさんに肘を打ち下ろし、ユリさんの身体が離れると腹を思い切り蹴った。
がたっ! がたがた!
テーブルの角で頭を打ち、そのまま壁に激突するとユリさんは動かなくなった。
「ユリさんっ!ユリさんっ!」
額が割れて血が流れている。
駆け寄ろうとしたら、髪を引っ張られて引き戻された。
「いたいっ…」
「おめえには遊んでもらうぜ」
髪を掴んだまま男はベッドの方に歩いていった。
引きずられてしまう。抵抗していたら、くん、と引っ張られて激痛が走った。
「痛いっ!いやだっ!ユリさん!ユリさん!」
「あの女はノビちまって助けちゃくれないよ。さあ、俺を愉しませてくれよ」
私はベッドの上に放り上げられた。
男は私ののど元から胸のあたりに座り、ポケットから白い荷造ヒモを取り出すと、手首をまとめて巻いた。
「ぃた… ぃ… ぅ…」
のどが圧迫されて苦しい。
男は腕を縛ったヒモをベットに括り付けた。
細いヒモだが強くて切れない。もがけばもがく程きつく締まって細い分だけ痛い。
今度は足の方を向いて膝の上に座られて、足が動かない。
足首にもヒモが巻かれていく。片足ずつだ。