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ヒー+ライク=ラブ?
【コメディ 恋愛小説】

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ヒー+ライク=ラブ?-1

「俺も彼女が欲しい!」
 平川晋は今村誠二にそう言い放った。
 ここは晋の部屋。部屋には晋と誠二の二人だけだ。
 誠二が惚気話をしていたら晋が立ち上がり、そんな事を叫んだのである。
「なんだよいきなり…」
晋は誠二を仁王立ちしながら見つめている。
「何故貴様に彼女出来て俺に出来ない!?」
誠二は「そりゃ…」と言った後。
「顔が悪いし、性格悪いし、体からヒジキの臭いかもしだしてるし…」
「せぃ!」
晋は誠二の暴言を止めさせるため、誠二にローキックをくらわした。
「てめぇ! 言わせておけば! ヒジキの臭いなんてしねぇよ!」
だが晋はちょっと気になるのか自分の脇の臭いを嗅いでみる。
「いってぇ…でもな晋、自分の臭いってわかんないもんだぜ?」
誠二は蹴られた尻を撫でながらそう言った。
「まぁ…俺の体臭の事は別にいいんだよ! 問題は彼女じゃ彼女!」
「彼女と言われてもねぇ」
「誰か居るだろう? 俺の事が好きなんだけど、声をかける勇気が無くて、木の影から遠めに俺を眺めてる子猫ちゃんが! なっ、誠二?」
晋の脳内は腐ってるな、と誠二は考えながら。
「あぁ…居るんじゃん…今も、もしかしたらこの部屋を電柱の影から見てたりして…」
と上辺だけで返事をした。
「そうか! じゃあカーテンが閉まっていたら、その娘が俺の顔を見れず悲しむな!」
晋はスタスタとカーテンの前まで歩き、勢い良く開ける。
「居るわけないだろダボ…」誠二は呆れながら外を見てみると…
「居たよ…」
確かに、電柱の影から体を半分出して、スカート履いてる女の子らしき人影がぽつんと二階を見上げてる…
「ほらな誠二! やっぱり居るんだよ俺のファン」
 晋は腕を上下にブンブン振りながら、誠二に「どうだどうだ!」と叫んでいる。
「ファンっうか…ストーカーじゃねぇか?」
正直どん引きしながら誠二は階下の女の子を眺める。
「何を言っておろうか! 自分にファンがおらんからって嫉妬しやがって!」
ビッと指を指して嬉しがる晋。
「だから、この頃無言電話とか、剃刀が入った手紙が来たりしてたのか…お茶目さんだなぁ」
「お前それ…やばいだろ…」 晋は腕を組んで「うーん」と唸った後に。
「そうだな、阿呆な程に俺を愛しているな…もうラブアンドピースだな」
「…死ねい阿呆」
晋は有頂天になり電柱に隠れてる?女の子に投げキスを連発している。
「よお…でもさ顔あんまり見えなくね?」
誠二がどんな角度から見ても、ちょっとは見えるが顔の全体像は見えてこない。
「馬鹿者! 俺のファンなんだからマドンナぐらいの美貌を持っていて、それでいてグラマーな女の子に決まっているだろうが!」
投げキスを止め、誠二を見据えながら力強く叫ぶ晋。
「別にバディーの事は聞いてねえよ」
誠二はもう興味が無いとばかりに寝転ぶ。
「あれだ…じゃあ今から下行ってここまで連れてこいよ…」
「おう! そうだな! じゃあマイハニーを捕まえてくるよ」
晋は「アハハハハッ」っと三回転半しながら部屋を出ていった。
誠二は多少気になったので立ち上がり外を眺めてみる。
「おっ、晋が出てきた」
晋はスキップしながら女の子に近づいていく。
「ヘイッ! マイハニー!」近所に響くぐらいの大声で叫び、電柱に隠れている女の子の右手を掴んだ。
『恥ずかしがらないでいいぜ! さぁ二人の愛の巣へ行こうじゃないか!』
すんなりついてくると思われた女の子だが、意外と晋の誘いに抵抗しているようだ。
「…っうか…」
『きゃあぁぁぁぁぁ!』
「悲鳴上げてるし…」
しかし、晋はその悲鳴にはお構いなしで女の子を引っ張る、引っ張る、引っ張る………
「おっ…出てきた」
女の子はたしかにスカートを履いている、上はフリフリがいっぱいの服を着ているが…
『おわぁ!』
手を引っ張っていた晋が顔を見た瞬間に自分の手を離した。
「後藤じゃん…」
手で顔は隠しているが、二人は直ぐにこの女の子が同じクラスの後藤康成(ごとうやすなり・♂)と言うことに気が付いた。
ちなみに後藤は学校では元気がよく、誠二や晋とも結構話す。
「何で後藤が女装してんだ? しかも晋の家に張り込んで…」
もしや、と誠二は思った。もしかしたら…後藤は晋のことを…
「ぅわぁ〜…なんてこったい」
誠二はにやけ顔でそう呟いた。


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