暗闇-6
「んっんっんんっ…んん!」
兄も私もイッた。
イッた筈だった。
兄が布きれを口にねじ込んできた。パジャマだ。
苦しい。ただでさえ苦しいのに。
くじゅっ…ぷ。
兄のが引き抜かれる。あの温もりが下がる感触がイヤだ。
だが。
今日はいつもと様子が違った。
「ん!んんんっ!んんっ!」
引き抜かれたソレはもう一方の穴を埋めてきた。
ありえない。
苦しい。痛い。叫べない。
「んー!んんー!」
涙がでて鼻が詰まる。
息が出来ない。
ますます涙が出てくる。
兄は止めない。
「やっぱ、きついな」
嗤っているのが、気配でわかった。
「うむぅっ!っがはぁっ!」
視界はもう、ハッキリとしない。
きりきりと腹が痛み始めた。気がする。
分からない。
差し込まれた肛門が痛いのか、腹の中が痛いのか。どちらの痛みか分からない。
痛い!痛い!痛い!
「ぅんんーっ!んんーっ!」
私はサイレンのようなうなり声を上げていた。口の中にパジャマを押し込まれているので音量はない。
それがなければ、獣じみた奇声を止められないだろう。
早く!早く!早く終わってっ!
「はっ… はっ… うんっ!」
兄は思い切り突き上げ、一人絶頂を迎えると抜いた。
私の口からパジャマをとる。
「ううう… はあっ… はあっ…」
やっと終わったことに安堵した私は全身から力が抜けていくのを感じた。
だが、身体は小刻みに震え、ベッドの上で排泄を始めてしまった。
お腹が痛くて止められない。
「いた…いっ…。うっ。…うううっ…」
「汚ねえな…」
兄が嗤っていられたのはそこまでだった。
排泄とともに流れ、シーツにひろがる大量の血。
私は痛みのために動けなかった。
「うわあ…!」
兄は血を見たとたん、私の部屋から出ていった。
「いたいよう…」
私の腕はベッドにくくりつけられたままだ。
パジャマは脱がされ素っ裸。
「いた…うっ… やっぱり死ぬのはこわいなあ… コレ、捨てにも行けないよ… ッ… 嫌だなあ…」
滑稽だった。
あれほど願った『死』なのに。
痛いってだけでもう死にたくないなんて。
服を着る事もできず、刺すように痛む腹を押さえることもできなかった。
あられもない姿のまま、私はお父さんに発見されるまでベッドの上にいた(らしい)。