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『It's A Wonderful World』
【コメディ 恋愛小説】

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『It's A Wonderful World 4 』 -6

「大の男が頭なんか下げるんじゃねえよ。……わかった。俺とお前の中だ。お前がAV女優のピンナップに仁美さんの顔写真貼り付けて、はあはあ言ってることは俺たちだけのヒミツな」

「はあはあ言ってねえよ! つうかどんだけ暗い趣味だよ!」

「アンタ……」

母は息子の姿に目を細めていた。

「オマエ、まだいたのか!!!」

つうか、全然ヒミツになってねえよ。

「ふふ。若い頃の父ちゃんにそっくりだよ……」

「やってたのかよ!」

なんだか嬉しそうに階段を下りてく母。
その時、僕は家出を決意しそうになった。
つうか、家出します。

「ところで、お前らさっき何の話してたんだ?」

食べ終わったアイスの棒をしゃぶりながらアキヒロが口を開く。
アホに話を戻されるなんて。
「自動車」を「自どう車」としか書けないアホに。

「いや、実は今日なクラスで…かくかくしかじか」

「ほうほう、なるほど…」

今日の出来事を説明するマサキの言葉に耳を傾けながら、アキヒロは頷いている。
そして、全てを聞き終えたアキヒロは言った。

「シュンて馬鹿だな」

ぐさっ。
つうこんのいちげき。
しゅんはいきたえた。
おや……?
しゅんがおきあがって、なかまにしてほしそうなめでこちらを……。

「オマエなんかに言われたくねええええ!」

僕は全力でドラクエループから抜け出した。

「自分ちの郵便番号も言えない奴に言われたかねえええええ!」

いくつだ、オマエ。
年賀状書けないくせに!

「昔は桁が違ったんだ」

「ほんとにいくつだ、オマエ」

いかんいかん。
常に貴族であれ、そう父親に言われて育てられた僕がこんなアホに熱くなってはいかん。

「父ちゃん、競馬に行ったきりこないわねえ……」

「いきなり嘘がばれるようなことを下からボヤくな!」

床を蹴飛ばして母親をなじる。
つうか、あんなデカい声の独り言があるか、いやない。
わざとか、わざとなんだな。

「今日はカンが冴えてるとか言って、貯金全部おろして中山競馬場に……」

「止めろよ!!!」

あいつのカンは当たったためしがない。


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