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『It's A Wonderful World』
【コメディ 恋愛小説】

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『It's A Wonderful World 4 』 -19

「そういえば、さっきの千円返せ」

「なぜに!?」

「悪い。さっきは勉強しすぎてお前を上から目線で見ていた。そうじゃなったら誰がお前みたいなアホに金やるか」

「あんま変わってないような……」

日が暮れていく。
すごすごと千円を差し出すアキヒロを尻目に僕は思う。
あとは結果を出すだけだと。
好きな女の子のためにがんばったんだ。
明日は、その結果が試される。
要は、僕がどんだけ仁美さんを好きかってのが、明日わかるんだ!

「僕はやるぜ!」

拳を力強く握り締めた。

「ふふふ、よく言ったシュンよ!」

マサキが嬉しそうに僕の肩を叩く。
なんか知らんが、マサキもこの1ヵ月必死に僕を応援してくれた。
全て邪魔だったけど。

「最後の仕上げだ! この局でも聞いて闘志を燃え上がらせるんだ!」

そう言いながらミュージックプレイヤーを取り出したマサキがイヤホンを僕の耳に付ける。
イヤホンからは聞き覚えのある曲が流れてきた。
心が燃え上がるような音楽。
古き良きハリウッド映画のBGM。

「これはロッキーのテーマ!」

「そうだ、この曲を聴いて明日までテンションを上げ続けるんだ!」

「おお、なんか知らないけど燃えてくるぜえええええ!」

アドレナリンがどばどば分泌される。
テンションが上がる。
いい調子だ。
明日は決戦っていう気がしてくる!

「燃えろ! 燃えるんだ、シュン!」

「やってやる! やってやるぞ、マサキ! 仁美さんにいい所見せてやる!」

「その意気だ! シュン、お前は男の中の男だ! 男祭じゃあああああ!」

どこから持ってきたのか、マサキは以前うちの窓から捨てられた和太鼓を叩いていた。
その姿が暑苦しすぎて、一瞬萎えそうになったが、ロッキーのテーマが僕の心を燃え上がらせる。
結局、その日は深夜までロッキーのテーマを聞いて、気分を盛り上げていた。


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