DOLLHOUSE〜羞恥心〜-7
ばかみてえ。
コイツは俺ほどには虜になっている訳じゃネエ。あそこまでのぼり詰めてもすっぱり止められる。
ただ、いやがってはいないとか、そういう次元の。
つくづく思い知らされる。自分の感情。
ちゃぷん。
いつの間にかリカが近寄ってきていて俺の懐に入り込んでいた。
「私、ご主人さまが好きですよ?」
首に腕をまわして抱きついて耳元でささやく。
声は密着した身体からも響いてきて不思議な感じだ。
「ご主人さまは快楽と感情は別って言ったけど、感じるのは苦しいけどうれしいの。でもご主人さまだからですよ?他の人だったら嫌。だから、触られたいの。だけど、気持ち良くなりすぎて、ヘンになっちゃうのがイヤ。ヘンな声がでちゃうのがイヤ」
身体を引きはがして顔を見ようとすると、やっぱり、ぷい。と視線をそらされてしまう。
リカの背中に腕を回して抱きしめる。
「ばかだな。ヘンじゃないよ。俺、ずっとオマエの鳴き声聞いていたいよ。すごくいい気分になれるんだ」
「なきごえ?」
「感じてさえずる声」
「やだ」
そういいながら、ふっ。と息が漏れてリカが微笑んでいるのが分かった。
「セックスは嫌い?好き?」
「嫌い」
なんの言いよどみもなくそう答える。
「でも、ご主人さまは許してあげる」
くすくす笑い出す。
許すも許さないもないんだけどね。
「好きって言えよ」
「ん。じゃあ好き」
「じゃあ、ってなんだよ?」
「それじゃあね、 …シテ?…」
「…」
リカは今度こそ、しっかりとしがみつき剥がれない。俺と顔を合わせようとしない。
かなり勇気をだして言った台詞らしい。
俺はリカを抱えたまま浴槽に立った。
「聞いたぞ。覚悟してろよ」
顔がにやけてしまうのが止められない。まあ、いいか。こいつもしがみついてて、見えてないしな。