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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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脅迫文=恋文?-2

2 一陣の風が、俺と女大魔王・矢城白雪の間を吹き抜けた。格闘マンガで主人公とライバルの死闘を予感させるシーンによく似てただろう。まぁ、格闘したら俺が一方的にやられるけど………。
「用件は、分かってるよな?」
矢城が綺麗な声を、男言葉で台無しにしながら俺に聞いてきた。妙に迫力がある。
「あ、あぁ。これだろ?」
半分、ビビりながら、俺はポケットからラブレターもとい、脅迫文を取り出した。
「分かってんじゃん」
うぉっ!!笑いやがった。めっちゃ可愛い。
………はっ、いかんいかん。矢城の笑顔にやられるところだった。下手な女優より美人だったからな。(アイドルは俺的に美人だと思えるのが少ないので、敢えて女優。美人な女優はホントの美人だ。アイドルみたいな偽の美人じゃない。)
くそっ、あの笑顔なら学校の大半の男は一撃だ。よく耐えたぞ、俺!
「じゃ、付き合えよ」
「え……いや、そのなぁ……」
「何だよ?来たって事は付き合うんだろ、アタシと」
一瞬にして不機嫌な顔になった。マズイ、瞳に殺気が篭り始めたぞ。
「な、なぁ、聞きたいんだけど」
「……何だよ?」
「何で、俺なんだ?お前って、黙ってたらすげぇ美人だし、噂じゃ五組の弘前とか、七組の長谷場とかに付き合えって言われたんだろ?」
弘前、長谷場ってのは美形で例外無く女垂らしだ。独は美形だが、別に女垂らしじゃない。そう思われてるが、結構堅いし、慎重だ。
「今、お前が言ったのが原因だ」
「……へ?」
「……みんな、アタシの外見しか見ない。そこしか見ないんだ。そんなアタシの体を目的に蟻みたいに寄ってくる節足動物にも劣る下半身でしか物を考えない低脳クズ共とは付き合ってなんかいられるか!そんな奴らより、アタシはお前が良い!!」
うーむ、何か説得力あるなぁ。思わず納得してしまった。
それに、美形の奴より、俺の方が良いなんて……何か嬉しいぞ。
しかし、俺が良い理由はなんだ?聞いてみよ。
「……で、なんで俺なんだ?何か、理由あんだろ?」
「……一年の時、お前はアタシを助けてくれた。………優しくしてくれた。」
…………それだけ?しかも一年の時って、クラス違ったよな。存在は知ってたけど、面識はなかったはず………。
ん、待てよ………。何か記憶の片隅にあるような……。思い出せ、俺。
……………、あっ!!
「あれか、煙草で濡衣きせられた時か?」
「…………」
無言で矢城は頷いた。
確か、ありゃ三年の奴が校内のベンチで煙草吸って、ポイ捨てした後に矢城が座ったんだよな。(ちなみに俺は近くの芝生に寝転んでた。)
そこに、通称・風紀の鬼こと、柿那谷(かきなた)が現れて、矢城が吸ったと決めつけられた。それを俺が弁明してやったんだ。
「あの頃、アタシは茶髪で、ピアスとかしてたし、言葉使いも悪いから先公に目をつけられてた。みんなもアタシを避けてたしね。でも、お前はアタシを助けてくれた。『見た目が不良っぽいからって、悪い奴だって決めつけんな』って、言ってくれた」
あぁ、言った。確かに言った。おかげで、今でも鬼には目をつけられてる。
「嬉しかった。外見で判断しない奴がいて、そいつがアタシを助けてくれた……」
………なぁんか、イメージ違うんですけども。
「それに、お前が茶髪より黒髪の方がタイプだって聞いたから、髪を黒くもしたんだぞ?」
マジかよ?
確かに茶髪より黒髪の方が好きだ。艶のある黒髪はホントに綺麗だからな。そこは譲れない。
それにしても、こんなに可愛くて女らしい奴だったとは………。
恐いってのは、間違った先入観だったのか?
「………だから、アタシのそんな努力、無駄にするんなら、覚悟しろよ!?」
………前言撤回、やっぱり恐い。背後にすごいオーラがある。プライドを傷つけられたベ〇ータか?怒りのスー〇ーモードか?
断ったら、社会的とは言わず、存在すら抹殺されそうだ。
しかし……どうしたものか。
「……なぁ、なんか言えよ。人間嫌いのアタシが告白するなんて、自分で言うのもなんだけど、世界破滅の序曲みたいなもんだよ?アタシを狂わせた、責任取れよな………?」
…………なんか、すげぇ可愛い。ヤバイ、クラッと来たぞ。


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