投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

喧嘩
【エッセイ/詩 その他小説】

喧嘩の最初へ 喧嘩 0 喧嘩 2 喧嘩の最後へ

喧嘩-1

ある朝、夫と喧嘩をした。

原因は子供に関する些細なことがきっかけだった。

いつもならこんなにこじれることはないのに、なぜかこの時はこじれてしまった。



一瞬にしてあたりを不穏な空気が包む。

どんよりと重たいそれは、次第にお互いの呼吸までも浅くする。



私達夫婦はめったに喧嘩をしない。

だからこうなるとお互いどうしていいかわからず、余計にたちが悪いのだ。



でも夫の性格上自分から謝ることはないので、事態を収拾するには私から謝らなければならない。

そんな時、つくづく私は損な役回りだなぁを実感する。

だいたい喧嘩はお互いさまなのだから、どっちか一方が謝るなんて不公平だ。

そんなの5才の子供だって知っているはずなのに。

バタンッ!!

でも事態は見る間に悪い方へと急変していく。

ドアに八つ当たりした夫が部屋から出ていった。



さっきまでの平穏を取り戻すにはどうしたらいいだろう。

私は脱水が終わった洗濯物を持ってベランダに出た。

気分はこの上なく憂鬱なのに、頭上に広がる空はイヤミなくらいに青く澄み渡っていて美しい。

そんな空を眺めていたら、なぜだかふいに泣きたくなった。



「さっきはごめんね」

ぐずぐず鼻を啜りながらその言葉を言う。

不本意だけど仕方がない。

しかしまだ怒っている夫は私と口をきいてくれない。

それでも彼がもう私を許していることが私にはわかる。



私が結婚から学んだことは「夫婦はわかり合って生きていく」のではなく「許し合って生きていく」のだということ。

そうすれば毎日笑って暮らしていける。



私は普段、夫の大部分を好ましいと思って暮らしている。

私にはない冷静沈着さも思慮深さも、偏屈なところでさえ嫌いになれない。

そんな夫は果たして私のことを好きでいてくれているのだろうか?



あとでいつもの夫に戻ったら、こっそり聞いてみようと思う。






喧嘩の最初へ 喧嘩 0 喧嘩 2 喧嘩の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前