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忘れ星
【初恋 恋愛小説】

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忘れ星-2

何か言わなきゃ……

僕は思い付く限りの言葉でこの重たい時間を埋めようとした

「でも……決めたんよ。俺ね、か、母さんが死んでからちいちゃんに頼ってばっかりで、いや、そのずっと前からもちいちゃんに迷惑かけてな。ダメな俺にちいちゃんはいつも優しくしてくれた。だから、俺……」

「まー君………。」

「きっと、ちいちゃんを卒業するから。」

格好よくなんてなかった。ものすごい涙流しながら、そんな事言うのだもの。それに、本心じゃあちいちゃんの為ではなく、自分の為だった。きっと、後悔させたかったんだ。自分以外の男を選んだちいちゃんに。

でも結局……後悔したのは僕だった

そして2年後、彼女はまだ高校生だというのに、退学届出して、結婚。
相手は顔すら分からないけど、きっと年上で金持ちでカッコいい男なんだろう。

そんな心にもない事ばかりが頭をよぎった

何年も一緒にいたのに、どうして何も言ってあげれなかったんだ

明日はついに結婚式…

家には白い招待状が届いていた

行かないつもりだったから、中身は見なかった

怖くて見れなかった

とうとう彼女は永遠に届かない所に行ってしまうんだな

諦めはもうとっくについていたハズなのに、忘れることができない

一生背負うんじゃないかというくらい彼女の結婚という事実がさらに重く僕にのしかかってきた。

本当に………卒業したい

忘れてしまいたい…何もかも…

せめて、思い出になるまで…

《あの星にね、忘れたい人の名前を言うとね、ホントに忘れられるんだってさ》

こんな事を昔彼女に聞いたんだっけ…

そうだ、あの星を探しに行こう

僕は自転車に乗り、昔あの星を見た場所に行った

嘘めいたおまじないを信じて、僕は星を探しに行った

忘れたい人を忘れるために
少しでも心をなだめるために

「見つけた……」

あの日と同じ場所に、待っていたように星は輝いていた
広大な夜空に輝く小さな星のたったひとつ

僕は自転車を降りて、その星を指差した

「僕には、今、どうしても忘れたい人がいるんです。これができなきゃ、明日、きっと泣いてしまうから、きっとみっともないから。忘れたいんです。それは――――――。」

ちいちゃん

さよなら……

今度こそ…

あなたを、卒業します


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