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白日夢(はくじつむ)
【鬼畜 官能小説】

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隷従一 白日夢 第三章:のぶこ編-1

(七) クリーンレディ

また無味乾燥な日々が、戻ってきた。恒例の、月に一度の馬鹿騒ぎが終わった。
「先生は、遊び出すと際限がないですから。」という田坂の進言(というよりは、命令だろうが!)からだ。どうにも、田坂には逆らえない。年齢は、俺よりも下なのだが、何故か頷いてしまう。元来、他人に制御してもらわないと、糸の切れた凧のようにどこに行くか分からん俺だ。昔からそうだった。麗子にも、・・いや、よそう。又、惨めな思いになるだけだ。

そう思いつつも、今夜も又麗子のHPを覗いている。
にこやかに微笑む、麗子が居る。その豊満な肢体を見せつける、麗子が居る。しかし、俺だけが知っている本当の、麗子は居ない。
淋しいような、そのくせ嬉しいような・・、そんな思いに駆られながらページを移動していく。今夜は、新しい情報はなかった。そうそう更新する暇は、ないだろう。ドラマの合間に、バラエティ番組にも出ているようだ。

実のところ、偽名を使ってファンクラブに入会している俺だ。会員番号:616=偶然なのか、俺の誕生日だった。定期的に送られてくる、会報は、封を開けることなく本棚で埃をかぶっている。開けてみたいという気持ちはあるのだが、”明日にしよう。”と、一日延ばしにしている。麗子宛へのファンレターが載っているかもしれない、そう思うと怖くて封が開けられないのだ。”情けない!”そう思いつつも、埃が被るままにしている。

今夜も又、エロサイトに入っていく。日課になっている、小説のネタ探し。マンネリ化を恐れる俺は、より過激なネタを探している。ヌード画像が現れる。次へ、次へ、急かされるようにクリックし続ける。そして、現れる画像の女性とのからみを妄想していく。
出会いの場所は、時間は、口説き文句は、・・。
今夜の場所は、とあるスナック。時間は、・・そう八時頃にするか。ふるいつきたくなるような美女が、一人グラスを傾けている。待ち人来たらず・・、か。それとも、キャリアウーマンの息抜き・・、か。

「彼女に、同じものを差し上げて。」と、バーテンに頼む。
その美女は、訝しげにこちらを見るが、慣れているのか、少し陰りを帯びた目で微笑んでくる。そうだ、メガネをかけさせよう。キャリアウーマンには、メガネが必需品だ。
「乾杯!」
小さく、グラスを上げる。その美女も、応えてくれる。小粋な会話を交わし、その後はお決まりのベッドインだ。
本番は、これからだ。読者の喜びそうなシーンを、ふんだんに盛り込んで書き込んでいく。男女の心理など、適当なものでいい。激しく絡み合う男女を描けばいい。

ありきたりのパターンでいい。ありそうで、ない。ないようで、あるかも?と、思えるものでいい。突飛な設定は、長続きしないものだ。そう思って、書いてきた。それで、良かった。
しかしそれも、これまでのことだ。最近は、読者も肥えてきた。心理描写を要求してくるようになった。田坂が、そう言うのだ。疲れる時代になったものだ。プレイにしても、同じものでは納得してくれなくなった。何か、新しいプレイを入れなくてはいけない。まったく、疲れる。
もっとも、それが為に田坂の奮闘があるのだが。一昔前は、クラブに通ったものだ。とびっきりの美女に会わせてくれた。その美女との絡みを妄想しながら、書いていた。

が、今は違う。ピンクサロン専門だ。そして、あのミドリのように上手くセッティングしてくれる。ネタづくりの為に、だ。大枚の軍資金の、一部(半分程度になるか)を負担してくれる。
そんな俺が、純愛物語をメールマガジンとして発行している。今では死語となってしまった観のある、清い交際物語を、だ。バランスを取らなければ、おかしくなってしまう。色情狂になってしまう、そんな不安があるのだ。俺にしてみれば、エロ小説は食い扶持の為だ。純愛物が、" 俺の本分 " と考えているが。


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