投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 387 やっぱすっきゃねん! 389 やっぱすっきゃねん!の最後へ

やっぱすっきゃねん!VL-4

「な、なによ」

 その視線に耐えきれず、思わずたじろぐ。すると直也は、ひとり納得した様子で佳代に云った。

「最初にデートって云っただろ?」
「それが?」
「おかしいと思ったんだよッ。アイツの好みって、かわいい系だからな。それが“よりによってこんなの”なんて…」
「こ、こんなのだと…」

 その瞬間、佳代の平手が伸びた。

「おっとッ」

 かろうじて避ける直也。

「人のこと云えるほどかッ!アンタの兄貴の方が、よっぽどマシだッ」
「おまえだって、単なる真っ黒けじゃねえかッ!」

 校門の前で始まった、いつもの罵り合い。

「人のこと心配するより自分の心配でもしてろッ!有理ちゃんに、なんにも云えないクセにッ」
「…あ、おまえそれを云うのかよ」
「何度でも云ってやるわよッ」

 直也の形勢が危うくなりかけた時、後ろからクルマの近づく気配を感じた。

「おまえ逹、なにやってんだ?」

 現れたのは永井だった。

「また、こんな処で痴話喧嘩か?」

 時折ぶつかり合う2人。だが永井には微笑ましく映る。

 しかし、

「監督ッ!オレ、こんな真っ黒けなんか好みじゃありませんッ」
「わたしだってッ、こんな意気地無し好きじゃないですッ」

 この時ばかりは、間髪入れずに互いが全否定の言葉を叫ぶ。そんな光景が、余計に永井の気持ちを和ませる。

「とにかく、さっさと帰れよ」

 クルマが進み出した。佳代と直也はしばらく頭を下げていたが、

「わたし、帰るから」
「…ああ、またな」

 互いに、ぎくしゃくした雰囲気のまま、その場を分かれた。


やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 387 やっぱすっきゃねん! 389 やっぱすっきゃねん!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前