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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 最終話「告白しタイッ!?」-9

「その格好で的屋のバイトするの?」
「んーや、なんか急にバイトをしたいって子が来てさ。急遽暇をもらったのよ」
「へぇ……」
「そんじゃいこっか」
「え? まだ仕事」

 手にはまだヨーヨーの出来損ないがひとつ。後ろにはいくつかの風船の束。

「いいよ。あとやっとくし、もともと私の仕事だから」

 いかにも気を利かせましたとばかりの笑顔の紅葉だが、紀夫はむしろ裏切られたと感じてしまう。

「はぁはぁ……待って、待つのー」

 と思ったら今度は別の声。幾分息切れをしているものの、意思だけはひしひしと伝わってくるそんな声。

「理恵さん。どうしたの? そんなにばてて」
「石段上がって来たの。急いで」

 理恵は赤主体の格子模様の浴衣でいた。彼女のもつ可愛らしくも華やかなイメージに合うそんな浴衣。ただとなりにいる綾のせいで幾分子供っぽくも見えるのが残念だった。

「こんなところでばてるなんて運動不足ね。理恵」
「ナニよ。あたしはあやっちみたいにはしたないことしないの!」

 おそらくは綾は裾をめくって走ってきたのだろう。

「ふふふ、なんとでも言えばいいさ。紀夫は先着一名様の豪華ってほどじゃない商品だもの。さ、行こう行こう」

 腕を取って引っ張る綾は逆にエスコートをする気なのではないだろうか?

「ナニ言ってるのよ。ノリチンはあたしと行くの。ねーノリチン」

 逆方向に引っ張るのは当然理恵。彼女も今度ばかりは見た目に気を遣ってる暇が無いらしく裾の間からむっちりとした太ももを見せて踏ん張っている。

「ふんふん、なるほどね。紀夫は先着一名様なんだ。じゃあ私のじゃない?」

「「「え?」」」

 三人の無益な争いを止めたのは紅葉。彼女はつかつかと紀夫に歩み寄ると彼に抱きつき自分のものだと主張するかのように頬ずりする。

「ちょ、先輩?」
「いいからいいから」
「「全然良くない!」」
「まぁまぁ二人とも。いい? このままここで引っ張り合いしても紀夫の股がずれるだけよ? それより今日はお祭りなんだし、楽しんでいったら?」
「それは」
「そうですけど」

 先輩の意見というよりはもっともな意見に頷く二人。もちろん紅葉に言われるのは癪だが。

「でも私はこうして今やるべきことがある」

 背後にあるプールを指差してもっともらしく頷く彼女。

「だからね、こういう提案をしようと思うの。相模原陸上部に代々伝わる夏祭りの伝統。そしてその勝利者こそ、この冴えないオトコの隣にふさわしい」
「さえないって俺のこと?」
「他に誰がいるのよ。で、どんなルールかといいますと、縁日の出し物、いくつかあると思うけど、それらで勝負してきてほしいの。たとえば射的なら景品とれたとか、カキ氷、ラムネの早食いに早飲みってかんじでね」
「先輩、そんな小学生じゃあるまいし……。ねえ理恵さん、綾さん?」
「よーし、運動と勉強じゃ勝てないけど遊びだったら負けないからね」
「望むところだ。ここはひとつ王者の風格を見せてあげるよ」

 いつから王者になったのかは不明だが反り返るほど胸をそらせる綾と、それを下から見上げる理恵。


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