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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 最終話「告白しタイッ!?」-23

「先輩、あの二人」
「無理無理。っていうか、アイツも悪いんだし、やっぱね」
「まあそうですけど、でもなんかかわいそうです」

 窮地を救ってもらった手前、稔には同情的になる紀夫。真吾からより詳しい話を聞いた今ではうつむく和也への警戒心も薄れていた。

「罪は罪。しっかりと罰を受けないといけないの。稔も、覚悟をしておくべきよ」

 そしてもうひとつ気になったのは、どうして紅葉がそれを知っているのか? それは彼女が稔と親しいことからある程度推測をつけるべきだろうと、紀夫は口をつぐんだ。

 そう、彼には背中の痛みをおしてでもすべきことがある。

 もう一人、今一人でいる彼女を探すこと……。

*―*

 ――なんであたしってばこんな日に一人なんだろ。

 祭囃子の中、一人ワタ飴を頬張りながら人波を逆行する里美。
 卸したてのベージュの浴衣は縦じまで実物よりも背が高く錯覚させるもの。帯はラメの刺繍の入ったピンクの目立つもの。ついでにいつもの運動靴ではなく気取った下駄を履いている。

 ――まるで七五三ね。

 焼き鳥屋にあった涼しげな風鈴を指差し、楕円に歪む自分をわらう里美。
 本当は今日、目的があった。
 もし本当に自分の推測通りならきっとこうなるという期待を込めて相模原神社にやってきたものの、そう現実は甘くなかった。

 実現しないのは勇気がないから。
 それも相手の……。

 ――大体さ、こういうときは男がリードすべきじゃない? なのに、バイト? なんであんたは休みの日まで先輩のお守りをしてないといけないのよ。いい? 君にはもっと大事な役目があるでしょ? 例えばさ、とっても可愛くてたまに素直じゃない
けど、でも本当はすごく寂しがりやな子を一人にしないとかさ……。なんて、何考えてんだろ。あほらし。私は別に紀夫なんていなくたってへいきだもん。私はどうせ、これからも、多分、一人でもがんばれるから。うん、別に、ちょっと寂しいだけですぐに慣れるよ。平気じゃないかもしれないけど。

 焼き鳥のたれの焦げる匂いをかぎながら、まだ夕飯を食べていないことを思い出す里美だった。

 仕方なく隣の焼きそば屋に並びひとパック購入。青海苔はあとあとのことを考えてパスし、代わりに紅しょうがを多めにしてもらう。

「へいまいど」

 気さくな店員は笑顔と一緒に焼きそばとお釣り。そしてすぐ次の客に愛想を振りまいていた。

 ――なんだかなあ。

 今日は親としか口を聞いていない。休日出勤の父は彼女の浴衣姿を見たいからと母に写真を撮るようせがみ、母はデジタルカメラの使い方が分からず、仕方なく姿見に映る自分を撮影した。

 ――あれじゃ死に装束だってば。

 思い出すとなんとも苦い出来事。しかし、それですら空虚な時間を埋める貴重な
ピース。

 ――あーあ、無理しないで皆と一緒に行けばよかった。つか、私ってばどうしてこう、意固地なんだろ。それに、籤運っていうの? 多分よくないし。

 逆張りは見事なオオハズレ。ソレが今この一人とういう虚しい祭りの夜を過ごさせるのだろうか?


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