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お江戸のお色気話
【その他 官能小説】

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お江戸のお色気話、その5-3

「さすがに取り立て屋だ、それで又女の家に行ったのか?」

「へえ、三、四日してから大旦那に呼ばれて、
(今度は分かっているなっ)
と、念を押されました」

「あはは、そうだろうな、それでどうした?」

「仕方なく、あの家に行って(ご免よ)って言って
扉を開けて中に入りました、

その時、あたしは(今度こそは、もう失敗は許されないなぁ)と思うと
身体が震えてきたんです」


「あはは、そうだろうな、さすがのんびり屋の金吉も、
緊張したようだな」
ご隠居は、金色に光った煙管を燻らせ、大きく煙を吐き出し、
頷いていた。

「へえ、それで・・、
奥方は、今度は驚きもせずに、あたしを中に入れました、

あたしは旦那に言われているので、
(今日は、借りた借金はきちんと返して貰うよ)
と前のようには迫力を欠いていましたが、言いましたよ、

でも奥方は、
それを見透かしたように言うんです・・」


「ほお、なんと?」

「(まぁまぁ、そう言わずに、ここにお掛け下さいませな)、
と色目を使うんです、
あたしはその瞬間に、この間のことを思い出して、
あそこが固くなりそうでした、
でも・・
それを抑えながら、(今度こそは!)と自分に言い聞かせました。
でも女は、思いも寄らないことをいうんですよ、ご隠居」


「ほほう、ひょっとして、それは、色気でお前を誘惑しようと言う
魂胆じゃないのかな」


「へえ、まあそんなところで、さすがですね、ご隠居・・良くお分かりで、
奥方が色目を使いながら言うには、
(金吉さんは、娘がお好きのようでしたねぇ)と言うから、

(それがどうした?)
と、あたしは突っぱねたんですが
(もし、どうしても娘をお望みなら)と、あたしの手を取り言うと、さっきまで
居なかった娘が衝立の後ろから出てきたんです、それが・・・」


「ほぉ、それが?」

「あの娘が、恥ずかしそうな桃色に顔を染めて、
襦袢で立って居るんですよ、半分裸で・・
白い肩を半分出していました、
ぷりっとした乳が少し出て、肌も透き通るように白いんです」


「ふうむ、今度は娘の色気戦術ときたか、相手はさすがだな」
と、ご隠居が呟くと、
それを聞いていた裏長屋の住人達も、溜息をつきながら頷いていた。

その夜、老人の部屋の男と女は、身体が熱くなっているようだ。
どの世でも、
色気というものは、切なく心を熱くするようである。


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